【活動報告】近隣病院へのアウトリーチ活動 事例検討会開催しました

昨夜は、近隣病院と事例検討会でした。
今回の困難事例は...心不全、大腸がんをもった認知症患者さんへの対応についてでした。
不安、不眠、頻尿、寂しくて夜だけで30回以上のナースコール。その都度対応してもすぐに忘れてしまう。ADLは車椅子に全介助。しかし、夜間でも排泄はせめてポータブルトイレに、と数名のスタッフで対応している...加えて心不全からの呼吸困難があり...
事例をパッと読んだとき、すぐに大変さが伝わりました。一方で、スタッフの患者さんの思いに応えたいという優しいさ、愛情が感じられました。

さて、事例検討です。
1.何に困っているのか、それらは2.誰か困っているのか3.どのように困っているのかについて、自分に正直に話をしていきます。

今回は認知症患者さんなので、上記3個に加えて、改善できることと改善できないことに分けて考えていきました。(1.のあとに改善できること、できないことを分けていきます。)
たとえば、認知症のため、記憶を保持するということは改善できないことになります。しかし、呼吸困難に対しては、少しでも改善(軽減)できる事がある...、と言うように何に困っているのかについて色々意見を出したあと、改善できること、改善出来ないんですねことにわけ、改善できることについてのみ、誰か困っているのか、どのように困っているのかを整理して話していきました。

大切なことは、具体的な解決策を考える前に、自分達の正直な気持ちを話し合うことです。自分の感情を大切にすることで、少しだけ、こころにゆとりがでてきます。ちょっとしたこころのゆとりが、患者さんにノンバーバルなコミニケーションとして伝わっていきます。
今回の事例検討でも、ケアスタッフが、患者さんの気持ちに寄り添い、表現できない患者さんの希望を一緒に探すことをしていることにスタッフの方々は気づいていませんでした。日々意識しないで行われているんですね。実際は、十分されておられるように私は感じました。
私自身が癒された時間でした。また、来月も楽しみにしています。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
疼痛・緩和ケア科部長 関根 龍一

【専門分野】
病状の進行した(末期に限らない)癌や癌以外のあらゆる疾患による難しい痛みのコントロール、それ以外の症状の緩和