vol.35 『高齢の末期心不全患者に様々なレベルの終末期医療を描いた短時間の映像を見せると、映像を見せなかった場合に比べ、同治療への意思表示を明確にする割合が上昇した』

『高齢の末期心不全患者に様々なレベルの終末期医療を描いた短時間の映像を見せると、映像を見せなかった場合に比べ、同治療への意思表示を明確にする割合が上昇した』〜米国心臓協会(AHA)が雑誌circulation(6/29号)に掲載した紹介記事より〜
具体的には、平均年齢81歳の進行期心不全患者246例を
(1)心肺蘇生(CPR)や人工呼吸器等すべての延命治療を行う、(2)CPRや人工呼吸器装着は行わないが、点滴治療などは実施、(3)主に在宅でQOL維持のための緩和ケアを実施―の3つのレベルの終末期医療の様子を医師のナレーション付きで紹介する6分程度の映像を視聴した群と、映像視聴なしの群に半数ずつランダムに割り付け。それぞれの群に対し、終末期医療に対する考え方を聞き取り調査したという内容です。治療内容の3項目は、当院の事前指示書の治療項目の3段階と同じレベル設定になっていてとても参考になります。ビジュアル的に理解しやすいツールがアドバンス・ケア・プランニングに有用であることを示した貴重な研究です。日本でも今後同様の試みが待たれます。

(関根)

このサイトの監修者

亀田総合病院
疼痛・緩和ケア科部長 関根 龍一

【専門分野】
病状の進行した(末期に限らない)癌や癌以外のあらゆる疾患による難しい痛みのコントロール、それ以外の症状の緩和