vol.17 「予後が1年以下で心血管系リスクが低い場合は、スタチン製剤を継続する利益は少なく安全に中止できる」

「予後が1年以下で心血管系リスクが低い場合は、スタチン製剤を継続する利益は少なく安全に中止できる」Kutner JS et al. JAMA Intern Med. 2015 May;175(5):691-700.

予測予後が1か月〜1年の間で、身体機能が低下し、かつ最近心血管系イベントがない患者が、3ヶ月以上の間スタチン製剤を心血管系疾患の一次もしくは二次予防で内服している場合に、スタチン製剤を継続した群と中止した群で1年間観察し、両群を比較した研究です。両群で60日以内に死亡した患者の割合に有意な差はなく、QOLは中止群の方がむしろ高かったという興味深い結果です。また、薬を中止によって抑制できた医療費は一人あたり716ドルでした。

高齢者のポリファーマシーは深刻な社会問題となっていますが、いつ、どの薬剤を減らすべきかについて多くの示唆を与えてくれる研究です。

(関根)

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=25798575

このサイトの監修者

亀田総合病院
疼痛・緩和ケア科部長 関根 龍一

【専門分野】
病状の進行した(末期に限らない)癌や癌以外のあらゆる疾患による難しい痛みのコントロール、それ以外の症状の緩和