【活動報告】アウトリーチ活動

10/16のアウトリーチ活動の報告です。(今回も長文です)
今回のテーマもスタッフケアでした。
今までの「スタッフケア」は、アッとハットの事例に対してどのようにスタッフに声をかけるのか、今後どのように対応していくのか、などディスカッションしてきました。今回は、それぞれの立場でどのように「感じる(感じた)」のかを「私」を主語にして考えました。

事例

状況:Aさんからトイレに行きたいというコールを受け、トイレ介助に向かう途中に通りがかりに別の患者さんがルートいじりをしていたので、そちらの相手をしていたら、Aさんの部屋からガシャンという音がした。慌てて駆けつけたらベッドの脇にAさんが倒れていた。
結果:レントゲンでは頭には異常はなさそうだが、左大腿部頚部骨折が発見されたため、総合病院に搬送した。

このインシデントについて、あなたはどういう気持ちになりましたか?
3グループに分かれました。
Aチームは当事者(ナースコールを受けて対応する予定の人)
Bチームは当事者と同じ勤務だった人
Cチームはその日は出勤しておらず後から話を聴いた人

「私は?と感じた」と記載後、グループでシェアし、その後、どのような対応をして欲しいのか(態度・言葉かけ)について個人で考えたあと、グループシェアをしました。最後に全体で発表し、A・B・Cそれぞれに違いがあるのか、などまとめをしました。

医療者は、「私」が感じたことを話してよいことを学んできませんでした(今の教育は変わったかもしれませんが・・・)。常に「客観性」を求められてきたこともあり(「あなたの気持ちを聴いているのではないのよ。」と言われてきませんでしたか?)、自分の感情に蓋をしてケアに当たってきたのではないでしょうか。

ケアを行う中で、どのように「私が感じているのか」によって、その後の対応(態度・声かけ)が変わります。自分の感情と違う対応をしてもその場を取り繕うだけとなり、相手が求めていることに応答するものではありません。自分の感情に気づき、その感情を認めた上で、相手の立場を理解しようとすることから始めます。その後に相手の気持ちに配慮しながら声をかけることで、「聴いてもらえた」「理解してもらえた」と感じることになります。しかし、一般的には、自分が感じた感情よりも、相手に何か伝えなければいけないという気持ちが働き、頭で考えようとするため、次の対応が「指導」や「教育的な態度」となり、気持ちのずれが生じてしまうことになります。(もちろん、立場上「指導」や「教育的な態度」にならなければならないこともあります。)

この考えが全て当てはまるわけでもありません。「感情」よりも「指導」をしてもらう方が安心するひともいます。相手の求めていることに応じることができるようになれるようにスタッフ間で話し合える環境と時間をもつことが大切なのかもしれません。

Aチーム、Bチーム、Cチーム、それぞれの時間によって感じる想いや感覚に温度差があることを共有する時間となりました。やはり、当事者でないと気持ちはわからないけど、「自分だったら・・・」、「助けてあげられなかったことが申し訳ない・・・」といった言葉や優しい声かけを聴いたAチームさんたちは「ちょっと癒された」とのことでした。とても暖かい気持ちになった1時間でした。

次回11月13日が今年度のアウトリーチ活動の最終回です。またご報告します。

(千葉)

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このサイトの監修者

亀田総合病院
疼痛・緩和ケア科部長 関根 龍一

【専門分野】
病状の進行した(末期に限らない)癌や癌以外のあらゆる疾患による難しい痛みのコントロール、それ以外の症状の緩和