vol.56 毎日142人(年間51830人!)の米国人が、薬物依存による過量投与で亡くなっている!?

毎日142人(年間51830人!)の米国人が、薬物依存による過量投与で亡くなっている!?

米国における薬物依存、とりわけオピオイド依存の蔓延(opioid endemic)は深刻な状態が続いています。この記事で、大統領直轄の「薬物中毒とオピオイド危機への対策委員会」は、現状のオピオイド依存の蔓延という国の危機に対して大統領は早急に対策を講じるべきであるとして、数多くの施策の提言書を発表しました。 慢性疼痛にオピオイドを処方する際には、薬物依存のリスク評価とその対策が欠かせませんが、米国においても、様々な具体的対策が始まっていますが、オピオイド依存の蔓延の程度があまりにも大きいため、大幅な状況改善につながる施策の実現にはいまだ至っていないようです。

日本においても、今後、非がん慢性疼痛へのオピオイド処方件数の増加が見込まれますが、米国のようなopioid endemicの発生は何としても避けなければなりません。痛みが強くQOLが著しく障害されている慢性疼痛患者に、オピオイドによって痛みが改善しQOLが上がるプラスの側面と、年単位の期間オピオイドを処方を継続した場合に一定の確率で発生しうる薬物依存のリスクのバランスを、社会全体としてどのように対応するべきか、これから日本でも、国を挙げて議論してゆく必要があります。

(関根)

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このサイトの監修者

亀田総合病院
疼痛・緩和ケア科部長 関根 龍一

【専門分野】
病状の進行した(末期に限らない)癌や癌以外のあらゆる疾患による難しい痛みのコントロール、それ以外の症状の緩和