vol.51 75歳以上の高齢がん患者における抗がん剤の治療効果に関する予備調査

先月末、国立がん研究センターが、75歳以上の高齢がん患者における抗がん剤の治療効果に関する予備調査の結果を発表しました。ここでは高齢者のデータ自体が少なく、残念ながらどのがん種でも抗がん剤の延命効果の有無について結論を導くことはできませんでした。

近年、いわゆる医療情報のビックデータを活用したエビデンスの創出とそれに基づく医療政策の立案の必要性について議論されています。真にこのようなテーマにこそ、全国のがん登録患者のデータをレジストリ化して、妥当性と信頼性の高いデータ解析を進めてゆくべきと考えます。また、単に生存期間を比較するだけでは、患者側のニードを踏まえたデータとは言えません。たとえいくばくかの期間、抗がん剤によって延命したとしても、その間ずっと苦しかったとぼやく患者さんも少なからずおられます。緩和ケアの立場からいえば、患者主観的なQOL指標を用いた両群(治療群、無治療群)におけるQOL比較をアウトカムに含めた形でのデータ収集が望まれます。

(関根)

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このサイトの監修者

亀田総合病院
疼痛・緩和ケア科部長 関根 龍一

【専門分野】
病状の進行した(末期に限らない)癌や癌以外のあらゆる疾患による難しい痛みのコントロール、それ以外の症状の緩和