下農のやること

今日はスッキリしない天気のせいか少し涼しく過ごしやすい一日でした。その分、ちょっと草むらに行くと、元気を盛り返した蚊がワンワンたかってきます。日中は用事があって出かけておりましたが、夕方からは、また、いつもの畑仕事です。あまりの暑さに後回しにしていたことが山積みで、今更ながら、ちょっと途方に暮れている古澤です。


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この何とも毒々しい色の果実がなんだかわかります?


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実は「これ」の完熟状態です。
本当に今年は何もかもが不作ですが、ゴーヤもやっぱり不作。アップで写真を撮っていますが、一個一個は小さいんです。あまりに小さくて、生っているのがわからないで獲り時を逃すと・・・気づいたらまっ黄色に熟して、パかッと割れたかと思うと、中に真っ赤な果肉に覆われた種。この真っ赤な果肉は甘いそうなんですが、私はちょっと食べる気がしなくて・・・わかりません。そのうち挑戦してみます。


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うーん、何が植わっているかわかりますか?これでも畑ですよ、一応。我ながら相変わらずの下農ぶりですね・・・(上農、中農、下農については8月5日付鴨川ライフ参照)。あーあ、既に雑草は種までつけちゃってますよ。やらなきゃ、やらなきゃと思いつつできずに今日になってしまいました。


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これ、上の写真と同じ場所ですよ。なんと正解はサツマイモ畑でした。安納芋です。今年は、ぱっと見は例年より良さそうに見えますが、芋は掘ってみないと解らないんだよね。今日の作業は「つる返し」です。これが大事な作業なんです。


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サツマイモは非常に生命力の強い植物で、やせた土地ほど芋が太るといいます。土地に栄養がないと植物として生き残るために光合成で作った栄養を芋に蓄えるわけです。ところが、栄養が豊富にあるとつるを伸ばすことに栄養を使ってしまい芋が太らないんです。これを「つるボケ」といいます。より多くの栄養を吸収するために、地面に接したつるの途中から「不定根」という根を張ってしまいます。すると、余計な栄養を吸収してつるボケが進行するばかりか、不定根に中途半端に小さな芋を作ってしまい、肝心な主の芋が太らなくなってしまうんです。


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「つる返し」はつるの途中で張ってしまった不定根をバリバリ地面から剥がして、ひっくり返し、不定根を空気にさらして枯らしてしまう作業です。結構しっかり張っているので、ほんとに剥がすときは「バリバリ」って感じです。時々つるがちぎれますが、ちょっとくらい大丈夫です。これをさぼると、本当に食べられない小指くらいの芋が沢山出来てしまうんです。
何か大きなことを成し遂げようと思ったらエネルギーを集中させよう、ということかな。
サツマイモも植物なのでつるを伸ばして、葉を茂らせて、花をつけて、種子をつけるのが本来の姿なのでしょう。実はサツマイモは朝顔に似た、割とかわいらしい花をつけるんです。でも我々はサツマイモの花や種子が欲しいわけではなく、あくまでも芋が欲しいわけです。目的は「芋を獲ること」です。研修医の皆さん、目的をはっきりさせると、方法、手段が見えてきます。そして、得られた結果を見て考察をするんです。なぁーんて、下農が偉そうなこと言っちゃって。でもね、時々、目的と手段が逆になっていることがあるんです。気を付けてね。


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下農が芋畑から刈り取った雑草。一輪車が埋まってしまっています。いったい、芋を育てているのか雑草を育てているのか・・?この草の山を見ると、よく頑張ったな!なんて思っちゃうでしょ?ところが・・・


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草を刈った後の地面をよく見ると、細かい種が無数に落ちているんです。これらが数日後には発芽して、2週間後には・・・あぁ、考えたくない。これが下農の下農たる所以です。

このサイトの監修者

亀田総合病院
産婦人科主任部長 大塚 伊佐夫

【専門分野】
婦人科悪性腫瘍