第47回日本遺伝カウンセリング学会学術集会 2023年7月7-9日

初めまして、臨床遺伝科の認定遺伝カウンセラーの大髙と申します。
私は産婦人科の所属ではございませんが、出生前検査や遺伝カウンセリングを通じて産婦人科と関係性が強いことからブログを書く機会をいただきました。
せっかくの機会だと思い、気持ちを込めて書いたので最後まで見ていただけると嬉しいです。

まず、認定遺伝カウンセラーのことを聞いたことも無い方が多くいらっしゃると思うので紹介します。本職業は、遺伝医療を必要としている患者や家族に適切な遺伝情報や社会の支援体勢等を含むさまざまな情報提供を行い、心理的、社会的サポ-トを通して当事者の自律的な意思決定を支援する保健医療・専門職です。(認定遺伝カウンセラー制度委員会より引用; https://plaza.umin.ac.jp/~GC/About.html)また、日本全国で356名(2023年4月時点)しかいない珍しい職業でもあります。
普段は臨床遺伝科にて遺伝カウンセリングを行っており、遺伝性の癌や出生前検査に関する相談などを医師とは違った立場から患者さんやそのご家族のサポートをしています。
私自身、この職業に就けてよかったと思うことは多いです。興味があればぜひこの機会に調べてみてください。

産婦人科と臨床遺伝科に所属する末光医師、門岡医師、臨床遺伝専門医の田嶋医師、高嶺 認定遺伝カウンセラー、三木 遺伝カウンセラーとともに、遺伝カウンセリング学会に参加してきました。

左から末光医師、門岡医師、大髙、田嶋医師、高嶺 認定遺伝カウンセラー、三木 遺伝カウンセラー

我々臨床遺伝科・産婦人科の目標は、「都心部のように医療機関の多くはない当地域に居住するが故に、出生前検査について『受けたい検査を受けられない』、『知りたい情報を得られない』、ということを無くしたい!!」です。
目標に関する2つの演題を門岡医師、私(大髙)から発表しました。

門岡医師の発表では、「過疎地域周産期センターにおける遺伝カウンセリング・出生前検査体制構築とその影響」と題し、2017年から現在にかけて産婦人科で多種類の出生前検査を導入して、受検者が増加していること、臨床遺伝科と連携して遺伝カウンセリング体制を充実させてきた意義について発表しました。

発表後には、当院と同様に過疎地域での出生前検査や遺伝カウンセリングの発展に力を入れている施設から「過疎地域だからこそやるべきことはありますよね」、と共感の声をいただき、全国に同じ境遇の仲間がいる実感が湧きました。

現在当院で受けられる出生前検査は多種類あり、染色体疾患を対象とした検査である羊水検査、クアトロ検査、超音波マーカー検査、コンバインド検査、NIPT(non-invasive prenatal genetic testing)、だけでなく、体の構造の変化を対象とした検査である胎児形態超音波検査を実施しております。
ここまで多種類の検査を実施できる施設は全国でも少なく、目標の一つであった「受けたい検査が受けられない」という我々の課題は数年かけて解決したと考えられます。

私(大髙)の発表では、「当院における通院時間とオンライン遺伝カウンセリングの需要調査」と題し、以前行ったアンケート調査の一部である「オンラインで遺伝カウンセリングが受けられるなら利用したか?」についての回答をまとめて報告しました。この調査で需要が見られたことから、当院では2022年12月からオンライン遺伝カウンセリングを開始しました。現在、多数の方が利用しております。
この場を借りて、アンケート調査にご協力いただきました皆様に感謝の気持ちを伝えたいです。ご協力ありがとうございました。

オンライン遺伝カウンセリングは、距離を理由に来院が難しい方にも遺伝カウンセリングの機会を届けられるため、課題である『知りたい情報を得られない』を解決する手段の一つとも考えられます。今後もあらゆる方への相談の機会を作れるよう精一杯努力します。

続いて、三木さんは、「遺伝カウンセラー養成過程におけるスーパービジョンに対する学生の経験に関する質的研究」と題し、遺伝カウンセラーの教育に関する発表をしました。(奨励賞候補演題に選出され、注目の発表でした。)※前の所属施設での発表です。
会場からは多数の質問が寄せられ、熱い議論が行われました。私自身、遺伝カウンセラーとしての歴は短いため偉そうなことは言えませんが、発表を聞いて教育に関する課題を考えるようになりました。大舞台での発表、お疲れ様でした。

発表の後は、遺伝科メンバーで松本観光をしました。
遺伝科の全員が集まることは一度に集まることはほとんどないため、とても貴重で楽しい時間を過ごせました!(^^)/
また、亀田の歴代の遺伝カウンセラーも集結し、楽しい時間を過ごせました。

↑歴代遺伝カウンセラー 右から2代目、1代目、3代目、4代目

少しだけ臨床遺伝科の宣伝になりますが、臨床遺伝科が執筆した記事が亀田ニュースに掲載されました。(2023年7月15日から連載予定[全4回])今回取り扱った出生前検査に関する内容が書かれているので、ぜひご覧になってください。
(亀田ニュースはこちらから: https://medical.kameda.com/general/about/magazine/index.html

気持ちを込めすぎてかなりの長文になりました。すみません。
最後までお読みいただきありがとうございました。

(出生前検査検査、オンライン遺伝カウンセリングに関する詳細は、遺伝科公式HPをご参照ください:https://www.kameda.com/pr/clinical_genetics/prenatal-diagnosis.html

このサイトの監修者

亀田総合病院
産婦人科主任部長 大塚 伊佐夫

【専門分野】
婦人科悪性腫瘍