産婦人科専門研修プログラム ー亀田のストロングポイントー

私が亀田総合病院産婦人科で専攻医研修(当時は後期研修と呼んでました)を開始したのは2010年4月、それから10年の月日が経ちました。医学部に入学したときは自分が産婦人科を選ぶなんて考えたこともありませんでしたが、学生の頃、新しい命の誕生の現場や、婦人科の手術に立ち会う中で自然と惹かれ、研修医のころに産婦人科で研修しているときにはいつのまにか決心していました。男で産婦人科を選ぶという時点で『なんで?』ってよく聞かれますが、自分がやりたいことを選ぶうえで特別な理由は必要ないと思います。そんな自分は研修先ですら、ほぼ直感で選びました・・・今では亀田を選んで間違っていなかったと思います(そう信じている笑)が、その内容や強みを十分に知ることなく選びました。でもそれを知るためには見学や上級医との面談だけでは限界があります。ここではその『強み―ストロングポイント』について、たっぷりとご紹介したいと思います。

2020年6月4日 亀田総合病院産婦人科 松浦拓人

―ストロングポイント―

1.豊富な指導医
専門研修を行う上で、一般病院であればどうしても指導医の専門性に偏りがあることも多く、それぞれの病院の『色』がでてしまいますが、亀田は周産期・腫瘍・腹腔鏡手術・生殖・女性ヘルスケア、それぞれの専門医・指導医がいるので総合的な力を養うには最適だと思います。指導医が多ければ当然、指導一つ一つにも余裕が生まれます。自分で勉強することはもちろん大事なことですが、それだけでは間に合わない部分を補ってくれる、それが『豊富な指導医』です。

post223_1.jpg(2018年9月 京都で開催された国際婦人科腫瘍学会に参加したときの一枚)

2.幅広い専門性をもった施設
1.と重なる部分もありますが、当院は地域の病院でありながら、幅広い専門性を持っています。
産科部門は千葉県に2病院ある総合周産期センターの1つであり、基本的に母体搬送を受ける側です。千葉県内で発生した母体搬送で行先が決まらない場合のコーディネートも行っていますし、NICUは妊娠22週以降の対応が可能です。
婦人科部門はがん診療連携拠点病院で、おおよそ例年の患者数から千葉県内で4番目か5番目です。ただし、がん治療が中心になりがちな大学病院やがんセンターとは異なり、良性疾患も多く腹腔鏡手術は年間250件以上、子宮鏡手術は50件以上行っており、専攻医の段階から多くの手術を経験することができます。また、当院は何でも腹腔鏡で、というわけではなく、患者さまにとって最良の術式が選択できるようにしているので開腹手術も十分に経験が可能ですし、腟式子宮全摘術も経験できます。詳細は【業績】を参考にしてください。手術だけでなく、化学療法、緩和ケア、外来(産科・婦人科)も担当してもらうことになります。以前は人員が乏しく忙しいこともありましたが、2020年6月現在、医師数も確保され、専攻医たちは余裕がある状態で診療に取り組むことができているようです。
また、感染症科、緩和ケア科、腫瘍内科(ゲノム医療チーム含む)、ICU専属の集中治療科などの専門性に特化したconsultantもいるので、抗生剤の選択、麻薬の処方の仕方、化学療法からゲノム医療まで、一般病院ならではの垣根の低さで相談でき、治療に関するアドバイスを受けることができるのも魅力です。

post223_2.jpg(手術風景 みんなで内視鏡技術認定医を目指しましょう!)

3.NICU・ARTセンター研修
専門研修のうちの3年間のうち、約2年間を当院で過ごすことになります。そのうち、6か月間はNICU(2〜3ヵ月)での新生児医療、とARTセンター(生殖医療科)(2〜3ヵ月)での生殖補助医療(不妊治療)を研修することができます。
自分は婦人科腫瘍の道に進みましたが、NICUでの3ヵ月、ARTセンター(生殖医療科)での3ヵ月間は絶対に必要なものでした。そこで研修できたからこそ、躊躇なく、自部の道を選ぶことができましたし、その後もそこで研修して得た知識・実体験が大いに役立っています。3年の間に総合周産期センターのNICUと世界最先端のPiezo-ICSIなども行っている本格的な生殖補助医療(亀田総合病院生殖医療科、亀田IVFクリニック幕張)をローテートできる研修施設は他にない大きな強みだと思います。
また、補足として当院産婦人科から独立したウロギネコロジーセンターもあります。ここでは国内No.1、世界でも負けない手術症例数を誇るチームがあり、日々骨盤臓器脱に対する手術・リハビリなどを行っています。国内外問わずフェローが集まる国際チームでもあります。専門医取得後、フェローとして数カ月間チームに参加することができます。詳細は割愛しますが、私も4ヵ月ほど研修しましたので興味ある方はぜひ。産婦人科を選ぶ時点でウロギネコロジーを中心とした女性ヘルスケアに興味がある人にはぜひオススメです。

post223_3.jpg(2017年11月 ウロギネコロジーセンターで研修)

4.ワークライフバランス
正直自分が研修したときにはなしえなかったものが今はあります。それがワークライフバランスです。当院では当直業務明けは手術に入ることはありません。Positive Offを推奨し、今後実効される働き方改革に準じるため、当直業務が終われば遅くとも午後には帰宅し、休息をとることができます。根性で耐えてきた自分や先輩方からすれば少しうらやましい話ですが、とても大事なことだと思います。研鑽を含め、皆、健康に、生き生きとした状態で業務に取り組むべきであり、疲労困憊の状態でし続けるものではありません。

post223_4.jpg(2018年医局旅行 鹿児島・桜島にて)

5.鴨川での生活
これはウィークポイントでは!?と思う人も多いかもしれません。正直、当院が位置する千葉県鴨川市は田舎です。でも通勤までかかって10分です。ノンストレスです。満員電車に揺られたり、ちょっとの寝坊で遅刻しそうになったり、夜間呼び出しでタクシー呼んだりする必要はありません。
休日やあいた時間には鴨川のきれいな海が心から癒してくれます。自分は時々サーフィンを楽しみますが、ここまで海に近い病院はありません。当院ではサーフポイントの近くにボードロッカー、温水シャワー完備の施設があります。海辺のジョギングも最高です。
ただ東京までは車で2時間弱かかります。都内で飲み会があるときは夕方5時にでて、参加して一泊して翌日朝帰り、なんて日もありますが、車があればすぐに移動できるので専攻医のときも週末には買い物や映画などよく遊びに行きました。あと、羽田空港まで車で1時間ちょっとです。田舎出身の自分は初め感動しましたが、羽田が近い=全国が近い、午後当直業務明け、休みをもらって、羽田に向かい、夕方鹿児島の霧島温泉につかっていたことがあります。学会出張も気楽です♪

post223_5.jpg(2018年夏 亀田主催のサーフィン大会 Kameda Cup)

6.給与・休暇などの待遇
給与や休暇も重要です。正直にそこまで悪い方ではありません。この場であまり具体的なことは書けませんが、バイトをしないと食べていけないなんてことは全くありません。ぜひ見学に来たときや、オンライン面談、メールでももちろんOKです、気軽に問い合わせてください。有給休暇は職員規定がありますが、科の方針として年に1週間連続取得可能です。学会や他の医師とかぶらないところで自由にとってください。病院宿舎、家賃補助もあり、鴨川市屈指のリゾートマンションに住んでいる医師もたくさんいます。学会出張費も発表すれば病院から補助が出ますので、学会貧乏になる心配はありません。

post223_6.jpg(夕日が照らす亀田病院 2019年9月 家庭医、専攻医、初期研修医、そして中国から来た医学生と・・・)

7.関東地域だけじゃない、石川、長崎、そして奄美大島まで 豊富な連携施設
2017年4月より、新専門医制度が開始されて以降、1つの施設で専門研修を完結することは不可能となりました。実際にこれは当院のような一般病院にはなかなかのハードルで、これまで専門医取得までには一度出て外病院を回る、いわゆる大学の医局システムに合わせたものになりました。これによって産婦人科後期研修を行ってきた多くの一般病院は大学病院の連携施設となりました。一般病院でありながら、総合型・基幹施設として機能しているのは千葉県内では当院含めて2病院しかありません。
当院はこの逆風ともいえる状況を追い風に変えるべく、都内の大学病院や、地域医療でも特に家庭医療や離島医療に特化した施設など専攻医に幅広い選択肢を与えることができるよう様々な施設と連携しています。2017年に研修を開始した2名は、昭和大学病院、旭中央病院、長崎医療センター、船橋中央病院で研修を終えました。2020年度開始の3名はさらに多様な連携施設を含めた研修プログラムが予定されています。参考までに以下に2021年度開始の専攻医を対象とした連携施設を紹介します。

1.昭和大学病院
2.東京医科歯科大学医学部附属病院
3.長崎医療センター
4.帝京大学ちば総合医療センター
5.国保旭中央病院
6.船橋中央病院
7.南相馬市立総合病院
8.恵寿総合病院
9.亀田京橋クリニック
10.亀田IVFクリニック幕張
11.横浜市立大学附属市民総合医療センター
12.名瀬徳洲会病院
13.さんむ医療センター
14.昭和大学横浜市北部病院

post223_7.jpg(2018年夏 長崎医療センターへ出向する専攻医の壮行会)

8.そして新たなターニングポイントへ
最後まで読んで頂いてありがとうございます。
これまで当院で産婦人科専門研修を行った専攻医の現在はどうなっているのか、とても気になるところだと思います。実はここが一番の強みだと思っています。それは、研修プログラムが終了し、無事に産婦人科専門医となったとき、そこはまた新しいターニングポイントであってよいということです。それぞれが自由に自分のやりたいことを求めて羽ばたいて構いません。亀田を基本として研修を積み、専門医となった医師はここ十数年で15名、その後は各々が大学病院、周産期センター、不妊クリニックなど新天地で大活躍しています。当然スタッフとして残って頂ければうれしい限りですが、昔の封建制度のような、御恩と奉公の関係が続くことはなく、別の場所で活躍することもまた一つのお礼奉公の形ではないでしょうか。

もし亀田総合病院産婦人科専門研修に興味をもって頂いた方がいればいつでも大歓迎です。ぜひ一度見学にお越しください(*´▽`*)
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このサイトの監修者

亀田総合病院
産婦人科主任部長 大塚 伊佐夫

【専門分野】
婦人科悪性腫瘍