第32回日本内視鏡外科学会 その1

なんだか、最近、記事を書くたびに「寒い寒い」ばかりですが、今日は本当に寒いです。冷たい雨も降っています。横浜からの帰りの電車でこの記事を書いております。今朝方、横浜では初雪が降りました。例年より6日早く、昨年より50日早いんだとか。
普段、スニーカーやサンダルばかり履いているので、たまに革靴を履くと足が痛くてたまらない古澤です。


post197_1.jpg

12月5日から7日の3日間第32回日本内視鏡外科学会がパシフィコ横浜で開催されました。この学会は内視鏡下手術に携わるすべての外科系診療科が関連する学会で、非常に大きな学会です。参加者はやはり、一般外科、消化器外科の先生が最も多いようですが、我々産婦人科をはじめ、呼吸器外科、泌尿器科、小児外科などの各外科系診療科の他、MEや手術室スタッフなどのセッションもあります。それと、この学会で面白いのは医工連携、産学連携のシンポジウムや発表も多く、最近では手術ロボットや、AIの活用など夢のある話が聞けることです。


post197_2.jpg

季節のせいもありますが、産婦人科関係の学会に比べ、全体に「黒い」です。産婦人科以外の外科系医師にはまだ男性が多いようです。産婦人科の学会の華やかさ、明るさはありません。


post197_3.jpg

post197_4.jpg

ですが、今回は女性医師のセッションもありました。近年の働き方改革、ワークライフバランスに関することの他、女性ならではの働き難さについての議論が交わされました。
なぜか、学会の本会場ではなく企業展示のスペースにある小さな会場だったのですが、女性だけでなく、私を含む男性医師も多数参加していました。今、非常に大きな関心を集めている話題です。亀田の産婦人科も女性医師が沢山在籍しています。女性医師の働きやすさの問題は我々男性医師にとっても重要な課題です。


post197_5.jpg

post197_6.jpg

妊娠、出産などのライフスタイルに関すること、体調管理に関することは勿論ですが、男性との体格、筋力の違いに関するデータを示してくれた発表もありました。当たり前ですが、男の方が背が高くて、手が大きくて、握力があります。例外はありますが・・・。手術機器のほとんどは欧米人の男性の体格に合うようにできています。産婦人科では使いませんが、自動吻合器では女性の握力では片手で扱えないものもあるようです。また、そもそも女性の小さな手ではハンドルを掴みきれないこともあるそうです。なるほど。最近は握力がなくても扱えるよう電動アシストになっている機器も登場したようです。女性が楽に扱える機械は男性だって使いやすいはずです。各メーカーには頑張ってほしいものです。


post197_7.jpg

このセッションではいくつかのアンケートも行われていました。
女性ならではの体調の変化があることを我々産婦人科医は誰よりも良く知っています。亀田の産婦人科では基本的に3番の対応をしています。負担を減らすこともできますが、減らすことを望まない女性医師もいると思います。勿論、手術中に倒れてしまっては困りますが、特に若い先生は「やれるところまでやりたい」と考える先生も多いと思います。幸い、私達、亀田の産婦人科では何かあればだれか「ピンチヒッター」に立ちます。休みたいときと休むもよし、頑張れるところまで頑張るのもよし、私たちは女性医師を応援します。


post197_8.jpg

この質問で5と答えた先生はきっと、既に偉くなってしまっている先生なのでしょう。諦めてしまっている1と2を合わせて40%以上、さらに自分で解決しているのも合わせてほぼ80%が周囲に相談していないというのは結構衝撃的です。「言いにくい」という風土に問題があるのでしょう。私達、上級医、男性の同僚が気づいてあげるのが一番だとは思いますが、私も含め、どいつもこいつも鈍感なので・・・。「言ってくれればよかったのに・・・」って言われても「そんなこと言えるわけないじゃん!」というのが本音なんでしょう。この結果を我々男性医師は肝に銘じておこう。

このサイトの監修者

亀田総合病院
産婦人科主任部長 大塚 伊佐夫

【専門分野】
婦人科悪性腫瘍