抄読会

今月は、初期研修医2年目の小森先生がローテートしてくださっております。抄読会で下記論文を読んでくださいました。

Effects of Allopurinol on the Progression of Chronic Kidney Disease. N Engl J Med 2020;382:2504-13.

CKD患者様に、抗尿酸薬を投与することで、進行が抑制できるかは、まだわかっておりません。日本で行われたFebuxostat vs placeboのFEATHER studyにおいても全体では有意差がなく、サブ解析で、蛋白尿が少ない集団、女性では腎不全の進行を抑制する可能性が示唆されました。

今回は下記PECOのRCTです。
P:痛風既往歴のないStage3/4 CKD患者
I:100〜300mg/dayのアロプリノールを投与した患者
C:プラセボ
O: 104週目までのeGFRの変化
結果として、アロプリノール群、プラセボ群で腎機能に差はありませんでした。secondary outcomeの血圧やアルブミン尿も差はありませんでした。
腎臓病(特に蛋白尿が少ない場合)はアウトカムが出づらいですが、今回も結果はでませんでした。
本試験は、登録が不完全であったため、検出力が不十分な可能性はありますが、本試験の結果からは、アロプリノールを積極的に投与する理由はありませんでした。
個人的には、痛風、蛋白尿が少ない集団、結石の既往がある場合、女性、ADTKD etcの場合はやや積極的に投与をしております。とても勉強になりました。小森先生、ありがとうございました。

post87.jpg

このサイトの監修者

亀田総合病院
腎臓高血圧内科部長 鈴木 智

【専門分野】
腎疾患全般、特に腎炎、腎病理