船旅

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統合的ケア

キーワード

水平統合、垂直統合、多職種連携

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○82歳女性でリウマチ性多発筋痛症で主に加療していた患者。当院としては6年前に在宅医療で関わっており、胆管炎で入院した精査によって肺や腹腔内に多発した腫瘤を認め、看取った方。看取られるまで複雑な病態や「主治医としての責任性」「多職種の連携」から振り返る。

「主治医としての責任性」として、今回の症例では、リウマチ科・血液内科・腫瘍内科・総合内科と主治医としてどのように関わったことで様々なことを学ぶことが出来たと感じていた。しかし、当院では業務の都合上在宅で方針決定に難渋する少数の患者以外には主治医を置いていない。その中でどのように主治医としての責任感を学ぶかの振り返りをした。

次に「多職種の連携」の観点から振り返った。関わりの中で長期に関わったケアマネや訪問看護師やそのほかの職種の思いに気がつき支えながら最後の場まで関わることが出来た。そこで振り返りとして、本人の経過をシートで記載し、訪問看護師・ケアマネ・ヘルパー・理学療法士それぞれの職種に場面場面で行ったことや気持ちや医師への要望をシートにまとめた。その中で見えて来たものとして、理学療法士は疼痛緩和、ケアマネは医療介護職の連携や経済的観点からのサポート、ヘルパーからは様々な寄り添いや方針を見守ること、看護からは医師と共にアセスメントできる医療者だからこそ揺らぎを感じるなどのそれぞれの職種の役割を知ることが出来た。また、チームのつながりとして医療介護職の情報集めは乏しいことを感じた。さらには、各々の職種の「つらい」が共有できていなかったという振り返りをした。

ディスカッションとして、グループ診療における責任性を育む仕組みはどうするのか、特に様々な業務の中からどのように考えたら良いのかという意見が出た。さらには多職種の連携に関しては、多職種の連絡ノートを置いて自由に書き込める形にするのはどうか、ヘルパーとの連携についてもっと交流ができたら良いなどの意見が上がった。

統合的ケアとして複雑な病態・さまざまな連携がされ学びとなった症例であった。 「船旅」というタイトルは、「患者さんが用意した船に私達多職種が乗りこみ、どうやって航海を乗り越えられるか試されていたような気がする」と担当ケアマネが話していたことから付けた。

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学