電子カルテに制限を加えると患者間違いをへらせるか?【多施設オープンラベルRCT】

【論文】
Effect of Restriction of the Number of Concurrently Open Records in an Electronic Health Record on Wrong-Patient Order Errors: A Randomized Clinical Trial

【Reviewer】Ryohey Yamamoto

【Summary】

  • 電子カルテに制限を加えることで、患者間違いが減らせるかを検証した多施設オープンラベルRCT
  • 結果としてオーダーミスは減らなかった(OR 1.03, 95%CI, 0.90-1.20)
  • 情報バイアスの影響があり強く結論はできない

【Research Question】
電子カルテを同時に開く医師数を制限することでオーダーミスを減らせる
P: 電子オーダーをする全ての救急科の外来・入院病棟の医師(n=3356)
I: 電子カルテを同時に1 人しか開けない (n=1669)
C: 電子カルテを同時に4 人まで開ける (n=1687)
O: オーダーミスをするセッション数

【期間】October 2015 to April 2017

【場所】米国、4施設

【デザイン】多施設オープンラベルRCT

  • 事前プロトコルの有無:あり
  • ランダム化の方法:コンピュターによる単純ランダム化
  • 隠蔽化の有無:あり
  • マスキングの有無と対象者:

【N】3356

【介入】電子カルテを同時に1 人しか開けない

【対象】電子カルテを同時に4 人まで開ける

【主要評価項目】1回以上の患者間違い

【解析】

  • サンプルサイズ計算:コントロールで100/1000000回の間違いが起きるとして、ICC 0.01として各群1600人の医師であれば、OR 0.5の検出力99%、OR0.6で96%、OR0.7で76%
  • ITTの有無:あり
  • 主解析:random-effects logistic regression models

【結果】
543 490人の患者に対して4 486 631セッション、12 140 298オーダーが行われた。両群にばらつきはなし。
主要評価:両群においてオーダーミスをしたセッション数に有意な差は認めず (OR 1.03, 95%CI,  0.90-1.20)
副次評価:救急外来に限定しても差はなし (OR 1.00, 95%CI, 0.83-1.20)。
66.2%が1 回のカルテ閲覧で全てのオーダーを済ませていた。

【結論】
電子カルテを同時に開ける医師の人数を制限してもオーダーミスの数は減らない

【Implication】
試験参加という情報バイアスの影響を受けているかもしれないが、カルテの制限ではオーダーミスは減らないのかもしれない。

【本文サイト】https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2733207


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このサイトの監修者

亀田総合病院
集中治療科部長 林 淑朗

【専門分野】
集中治療医学、麻酔科学