ICU患者においてRRT導入時の輸液バランスと90日死亡の関連はあるか【多施設前向きコホート研究】

【Article】
Vaara ST, Korhonen AM, Kaukonen KM, et al; FINNAKI Study Group. Fluid overload is associated with an increased risk for 90-day mortality in critically ill patients with renal replacement therapy: data from the prospective FINNAKI study. Crit Care. 2012 Oct 17;16(5):R197. PMID: 23075459

【Reviewer】Ryohey Yamamoto

【目的】RRT時の輸液バランスと90日死亡の関連はあるか
P: 24時間以上ICU滞在する見込みのあるICU入室患者
E: Fluid overload(元の体重から>10%の増加)あり
C: Fluid overload(元の体重から>10%の増加)なし
O:90日死亡

【デザイン】前向きコホート研究

【期間】2011.9〜2012.2 5ヶ月間

【場所】フィンランド17施設ICU

【対象】24時間以上ICU滞在する見込みのある患者
除外:末期腎不全、維持透析、他の研究に参加、フィンランドに永住しない、同意説明に十分な言語能力がない、non-renal indicationでの透析

【収集項目】患者特性(身体所見、生化学データ、SOFA、SAPS2、APACHE3の診断、体重、慢性疾患、ベースラインCre、ICU前の治療)、RRTのタイミング、RRT導入時のパラメーター、RRT導入時のパラメーターとFluid overload(元の体重から>10%の増加)と90日死亡の関連を調べる

【解析】ステップワイズ法(年齢、SAPS2、SOFA、RRT導入日、ICUからRRT導入の時間、RRTのモダリティ、乳酸値、BE、RRT時のCre、RRT開始時期の尿量、コロイド輸液の使用、severe sepsisの有無、RRT開始時の輸液量)

【結果】
296人のRRTを施行したICU患者を組み入れ、283人のデータが使用できた。76人がFluid overloadであった。90日死亡は39.2%程度、Overloadありでは59.2%、なしでは31.4%であった。重症度、RRTまでの時間、RRTモード、Sepsisの有無で調整したロジスティック解析はOR2.6であった。


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このサイトの監修者

亀田総合病院
集中治療科部長 林 淑朗

【専門分野】
集中治療医学、麻酔科学