敗血症患者で正の輸液バランスは死亡とAKIに関連するか?【過去起点コホート研究】

【Article】
de Oliveira FS, Freitas FG, Ferreira EM, et al.
Positive fluid balance as a prognostic factor for mortality and acute kidney injury in severe sepsis and septic shock. J Crit Care. 2015 Feb;30(1):97-101. PMID: 25269788.

【目的】
Severe sepsisとSeptic shockにおいて、後期の正の輸液バランスがAKIと死亡に関連するか

【デザイン】過去起点コホート研究

【期間】2007年から2009年

【対象】18歳以上のsevere sepsis、septic shock患者
組み入れ:2001年の敗血症定義でsevere sepsis, septic shockの患者
除外:RRTをすでに施行

【方法】
後ろ向き観察研究により、3時点で輸液バランス(敗血症による臓器障害発症時、敗血症の診断時、昇圧剤の開始時を測定)を測定。ロジスティクス回帰分析で死亡、AKIをアウトカムとして解析

【結果】
176人がコホートとして組み入れられ116人が解析できた。(60%が不十分なデータであった)。
対象は60歳程度、APACHE2は17程度、SOFA8点程度、死亡率は62.1%であった。
RIFLEスコアF、最初の臓器障害が出現してから2日目の尿量が0.9L未満、診断から24-48時間での輸液バランスが3L以上であることが高い死亡割合と関連していた。ショックの初日に尿量が0.85L未満は独立した死亡のリスク因子であった。輸液バランスとAKIとの関連は見られなかった。

【結論】
後期の正のフルイドバランスはsevere sepsisの独立した死亡のリスク因子であった。正のフルイドバランスはAKIの予防・リスクどちらの因子でもなかった。

【Implication】
過去起点コホート研究でPositive fluid balance(診断から24-48時間で3L以上の輸液)は死亡と関連するがAKIとは関連がないという結果。
コホートから60%が脱落しており選択バイアスが高く、解析もステップワイズ法で行っており、うーんといった印象。これでJournal of Critical Careにのるのか...。敗血症の臓器障害発症時、敗血症の診断時、昇圧剤の開始時を測定で敗血症のphaseを分けたのは良いアイデア。


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このサイトの監修者

亀田総合病院
集中治療科部長 林 淑朗

【専門分野】
集中治療医学、麻酔科学