第3回亀田感染症セミナーin東京での質問への回答(講義6)

「第3回亀田感染症セミナーin東京」で頂いた質問への回答です。たくさんの質問をありがとうございます。

講義6:胆道系感染症

Q1:PTGBDを施行した場合のチューブ留置期間、抜去のタイミング
A1:基本的にPTGBDは手術までの繋ぎと考える。手術が終了すれば抜去する。poor PSのためにPTGBDチューブを挿入しているが手術ができないという稀な場合はあり得るが、抜去タイミングに際して決まったものはない。一般に、抗菌薬治療が終了し感染が沈静化してから慎重に抜去する(食事摂取まで見る場合もある)。手術をしない場合の胆嚢炎の再発率は高い(2-4割)ので注意する。

Q2:高齢男性のADLが悪い方で、繰り返す無石性胆嚢炎の場合、手術しなければならないか?
A2:無石性胆嚢炎の対応は結石性と同じであり、できれば手術が望ましい。無石性胆嚢炎は、手術や外傷、他の感染症で起こることが多いので、そのような状況でない場合には、胆泥などがないか画像検査で確認した方が良い。

Q3:重症例でMEPMだけでは腸球菌のカバーはずれるのでは?
A3:TG18ではgrade IIIでVCM追加を考慮(推奨)と記載されているが、一般に「足が早い」のはグラム陰性桿菌であり、カテコラミンが大量に必要になるようなshockでなければ腸球菌のカバーはせずに培養結果を待つ余裕があることが多い。また重症であれば、まずは緊急で胆道ドレナージ行うことが最優先であり、ドレナージにより臨床的に安定し培養結果を待つ余裕ができることがある。

Q4:胆嚢ドレナージのタイミングは?重症で胆嚢ドレナージ無効の場合の手術タイミングは?
A4:基本的に重症ならすぐに胆嚢ドレナージを行うべき。胆嚢ドレナージが無効の場合は、その理由を検討する(チューブの閉塞などなら追加ドレナージ、穿孔しているなら緊急手術)。

Q5:胆管炎疑いの場合、単純CTで膿瘍や腫瘤(閉塞機転)など認めない場合造影いる?
A5:単純に比べて、造影の情報量はとても多い。膿瘍や腫瘤、胆道系の異常、膵炎の存在は造影しないとわからないので、できる限り造影を行う方が良い。

Q6:CTなどの画像検査で成因を同定できない場合、急性期でもERCPをするべきか?
A6:臨床経過、血液検査、診察所見などでなお胆管炎が疑わしく、状態が改善していない場合には、ERCPを行う方が良い。ただし、経過が良好で胆汁鬱滞所見が改善してしまった場合には結石のpassingかもしれないので、それでもERCPを行うかは患者背景も加味してcase by caseで判断する。

このサイトの監修者

亀田総合病院
臨床検査科部長、感染症内科部長、地域感染症疫学・予防センター長  細川 直登

【専門分野】
総合内科:内科全般、感染症全般、熱のでる病気、微生物が原因になっておこる病気
感染症内科:微生物が原因となっておこる病気 渡航医学
臨床検査科:臨床検査学、臨床検査室のマネジメント
研修医教育