2型糖尿病患者に対するインスリン導入における週1回インスリン製剤アイコデックと1日1回インスリン製剤グラルギンの比較

Journal Title
Weekly Icodec versus Daily Glargine U100 in Type 2 Diabetes without Previous Insulin

論文の要約
【背景】
インスリンアイコデックは開発中の週1回投与の持効型インスリン製剤である。

【方法】
本試験は成人2型糖尿病患者に対して78週間の無作為非盲検のtreat-to-target試験である。被験者を無作為でアイコデック群とグラルギン群に分け、非インスリン血糖降下薬と各々のインスリン製剤を併用し、主要仮説を『52週間でのHbA1c絶対変化量についてアイコデック群はグラルギン群に非劣性である』と設定して実施された。副次的に48-52週で血糖値が70-180mg/dLで留まった時間や低血糖の回数も調べた。非劣性マージンは0.3%とした。本研究はNovo Nordisk社が出資し、管理、解析、解釈、原稿の準備、レビュー、承認に関与していた。

【結果】
各群492人ずつに分けられHbA1c絶対変化量はアイコデック群で-1.55、グラルギン群で-1.35だった。血糖値が70-180mg/dLで留まった時間はアイコデック群が71.9%、グラルギン群が66.9%だった。低血糖を起こした回数はアイコデック群では1人あたり年0.30回、グラルギン群では0.16回だった。

【結論】
アイコデックはグラルギンよりも良好な血糖コントロールを得られる。

Implication
Treat to target試験であり、治療強度が被験者によって異なり、アイコデック群もグラルギン群も同じ目標に向かって投与単位の調整をしていたため、長い時間をかければHbA1cは同程度に収束すると考えられる。血糖の連続測定などの制約から大きなサンプル数や長期間の観察は困難が予想されるが、アウトカムがHbA1cを含む代理アウトカムのみであり、真のアウトカム、少なくとも患者中心アウトカムの結果が望ましい。本薬剤は、週1回インスリン製剤であり、コンプライアンスが期待できる点で優れているが、費用や副作用情報は臨床応用するうえで重要である。アイコデック群では低血糖エピソード226件のうち105件が3人の被験者に集中していたようだが、この3人が低血糖を起こした背景については記載がなかった。今後、副作用情報についても観察研究を含めた追試験に注目する必要がある。

文責 南方雄介/富田将司/南三郎

このサイトの監修者

亀田総合病院
救命救急センター センター長/救命救急科 部長 不動寺 純明

【専門分野】
救急医療、一般外科、外傷外科