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カタールの三次病院に受診した18歳以上65歳未満の腎結石による疼痛患者で、NRS(Numeric Pain Rating Scale)4以上の1645人を対象にした二重盲検の無作為化試験。これまで腎結石に対する鎮痛薬の効果に関して明確なエビデンスを示した研究はなかった。参加者をジクロフェナク(75mg/3ml筋注)、モルヒネ(15mg/15ml静注)、アセトアミノフェン(1g/100ml静注)のいずれかに1対1対1に割付けた。診断は可能な限り超音波・CTにて診断をつけ、ITT解析とper-protocol解析を行った。NRSは受診直後、30分後、60分後、90分後に記入用紙に回答した。患者、治療者、評価者、解析者とも盲検化されていた。
Primary Outcomeは、モルヒネ群に比してジクロフェナク群が有意に多い結果となり、モルヒネ群とアセトアミノフェン群では有意差はなかった。Secondary Outcomeは、30分後の疼痛スコアの平均はモルヒネ群が高く、鎮痛薬の追加投与もモルヒネ群が多かった。副作用(嘔吐、ふらつき、皮疹、低血圧)もモルヒネ群が有意に多かった。また、per-protocol解析では、Primary Outcomeにおいてモルヒネ群よりアセトアミノフェン群が有意に多い結果だった。
今回の論文ではITT解析においてジクロフェナク群に有意差があることから、ジクロフェナク群の有用性が高まったことが最も強調できることだろう。ただ、超音波やCTにて診断がついていない脱落群を除外したper-protocol解析においてアセトアミノフェン群で有意差がついていることから、腎結石の疼痛管理においてアセトアミノフェンも有用であることの可能性も示されている。

Delivering safe and effective analgesia for management of renal colic in the emergency department: a double-blind, multigroup, randomised controlled trial. Dr Sameer A Pathan et al.
THE LANCET Published: 15 March 2016
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S0140-6736(16)00652-8

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このサイトの監修者

亀田総合病院
救命救急センター センター長/救命救急科 部長 不動寺 純明

【専門分野】
救急医療、一般外科、外傷外科