2021.04.30 麻酔科抄読会

担当:金先生/指導医 杉山先生

非心臓の大・中手術におけるデクスメデトミジンを用いたオピオイドフリー麻酔とレミフェンタニルを用いた麻酔の比較
POFAランダム化臨床試験Balanced Opioid-free Anesthesia with Dexmedetomidine versus Balanced Anesthesia with Remifentanil for Major or Intermediate Noncardiac Surgery
The Postoperative and Opioid-free Anesthesia (POFA) Randomized Clinical Trial
Helene Beloeil, M.D., Ph.D., Matthias Garot, M.D., Gilles Lebuffe, M.D., Ph.D., Alexandre Gerbaud, M.D., Julien Bila, M.D., et al.
Anesthesiology2021; 134:541-51

【背景】オピオイドは周術期に広く使用されるが、PONV、呼吸抑制、イレウスなどの副作用も有する。近年アメリカでは過度処方や乱用が問題になり、オピオイドを減らす風潮が広まっている。α2アゴニスト、NMDA受容体拮抗薬などを含めたMultimodal analgesiaを用いることでオピオイドを投与しない麻酔ができ、十分な鎮痛が得られる可能性があるが、OFAの定義が異なり、効果の程度や適用可能性に疑問が残る。
デクスメデトミジンは鎮痛作用も有する鎮静薬であり、オピオイドの副作用(呼吸抑制や便秘など消化管抑制)も軽減できる。

【目的】術後、術中オピオイドフリー麻酔(POFA)のトライアルであり、OFAが術後のオピオイド関連の有害事象を減少させるかという仮説を検証する。

【方法】多施設(フランス国内10施設)の前向きランダム化比較試験であり、研究対象:18歳以上;非心臓;大手術または中手術を予定。介入:DEX群→術中にデクスメデトミジンを投与。対照群→術中にレミフェンタニル+モルヒネを投与。アウトカム:抜管後48時間以内に発生するオピオイド関連有害事象(低酸素血症・イレウス・認知機能障害)の複合項目。

【結果】主要評価項目:レミフェンタニル群(157人)とDEX群(157人)で低酸素血症の発症率がそれぞれ94(61%)と110(72%)であり、DEX群では有意に高かった(P値0.030)。イレウスと認知機能障害に関しては、両群で有意差は出なかったが、オピオイド関連有害事象の複合項目として、両群はそれぞれ105(67%)と122(78%)であり、DEX群でオピオイド関連有害事象が多かった(P値0.031)。副次評価項目:モルヒネ消費量(mg)、PONV(人)、制吐薬の使用(人)などはレミフェンタニル群でDEX群より有意に多かったが、抜管時間(h)とPACU滞在時間(h)は短かった。NRS>3の回数、未予定のICU入室、入院日数(d)などでは有意差は出なかった。有害事象:徐脈と重度徐脈(<45/min)がDEX群でレミフェンタニル群より明らかに多かったが(P値0.009と0.004)、いずれも術後の合併症や後遺症を引き起こさなかった。

【結論】このランダム化比較試験では、非心臓の大・中手術を受ける患者において、DEXを用いたオピオイドフリー麻酔は、レミフェンタニルを用いた麻酔と比較して、術後のオピオイド関連有害事象が多かった。

質疑応答では、両群で麻酔導入、維持及び術後に使用されていた薬剤が多剤であり、レミフェンタニル群で術後モルヒネの投与もあり、プロトコルに対する疑問や、結果の実現可能性(Feasibility)・最適性(Optimality)に関しては可能なら多変量解析などにより分析したほうが良さそう、という指摘がありました。
しかし、周手術期使用されている鎮痛、鎮静、血管作動薬などは多少相互作用もあり、これらの多くの情報から関連性を明確にするのは難しいかもしれません。

亀田総合病院 麻酔科 後期研修医 マイマイティリ イマム

このサイトの監修者

亀田総合病院
麻酔科主任部長 小林 収

【専門分野】
麻酔、集中治療