A&A誌:帝王切開時脊椎麻酔導入におけるレミマゾラムの安全性と母体記憶への影響(Pilot Study)

2025.10.21 麻酔科抄読会サマリー

Hyers B, Tran A, Reddy A, Strulowitz T, Meshel A, Katz D.
A Pilot Study of Remimazolam During Neuraxial Placement for Scheduled Cesarean Deliveries on Parturient Experience Recall.
Anesth Analg. 2025;141(3):660–662.
doi:10.1213/ANE.0000000000007454

<目的>
帝王切開時の脊椎麻酔導入中に多くの妊婦が強い不安を訴える。ミダゾラムは有効な抗不安薬だが、健忘を伴うため使用を避けられることが多い。
本研究では、超短時間作用型ベンゾジアゼピンであるレミマゾラムが、不安軽減と記憶保持を両立できるかを検討した。

<PICO>
P:予定帝王切開を受ける妊婦(≥18歳、妊娠37週以上、n=22)
I:脊椎麻酔導入時にレミマゾラム(1–2 mgボーラスを反復投与)
C:対照群なし(観察的パイロット研究)
O
 o 主要評価項目:記憶保持(投与後1分に提示した画像の想起率)
 o 副次評価項目:不安スコアの変化、手技・分娩の記憶、満足度、安全性(母体・胎児)

<結果>
記憶保持:13/22(59%)がPACUおよびPPD1で画像を想起。
脊椎麻酔手技の記憶:16/22(73%)が記憶あり。
分娩の記憶:全例で保持。
不安スコア(0–10):
ベースライン 7.5 → 1分後 5.3 → 20分後 3.3(p<0.001)。
投与量:平均 5 mg(0.069 mg/kg)。
母体・新生児安全性:SpO₂低下・胎児異常波形なし。Apgar(1分・5分)ともに中央値9、臍帯pH 7.30。
感想:「リラックスしたが意識は保たれていた」「全員が再使用を希望」。

<会場での議論>

  • 鎮静の評価はどのように行われたか。スケールの使用があったか。
    →スケールの使用については記載がなかった
  • 記憶の評価に使用された画像はどのようなものか。
    →画像についての詳細な記載はなかった
  • 児娩出時の記憶があるということは大事なことなのか
    →出産後に早期接触を行うことが母の愛着形成を促進して愛着行動を増し、母親の満足感が高く、母乳育児の率を上げ授乳の期間も長くすると報告されている。直接肌を触れる早期接触とは厳密には異なるが、児を娩出した時の記憶は保持したいと希望する妊婦は多いと想像され、母親の満足度には大きく関わると考えられる。
  • レミマゾラム使用で呼吸などの変化がないか心配である
    →鎮静の評価についての詳細はなかったものの、鎮静を受けた妊婦のデサチュレーションのエピソードはなく、胎児心拍モニタリングでも徐脈は認めなかったとの記載があった

このサイトの監修者

亀田総合病院 副院長 / 麻酔科 主任部長/亀田総合研究所長/臨床研究推進室長/周術期管理センター長 植田 健一
【専門分野】小児・成人心臓麻酔