2023.03.28 麻酔科抄読会

Effect of a repeated verbal reminder of orientation on emergence agitation after general anaesthesia for minimally invasive abdominal surgery: a randomised controlled trial.
Br J Anaesth. 2023 Jan 23:S0007-0912(22)00699-7.

患者に対して、時間、場所、人物について繰り返し呼びかけるという方法は、せん妄の非薬物療法として広く用いられてきました。筆者らは、この戦略を用いることで、覚醒時興奮の発生率を抑え、術後回復を促すことができるという仮説のもと、ランダム化比較試験を行いました。

P:腹部の低侵襲な手術を受ける18-70歳の男女
I:全身麻酔の覚醒時に、繰り返し名前と状況, 場所を呼びかける
C:全身麻酔の覚醒時に、繰り返し名前だけを呼びかける
O:覚醒時興奮の発生率

結果:介入群では対照群と比較して有意に覚醒時興奮の発生率が少なかった。

発表者の河邊先生は、自身の症例でこの研究と似たような呼びかけを行ったそうです。残念ながら覚醒時興奮が見られたようですが、その結果の考察も含めて大変興味深い発表でした。
河邊先生、植田先生、ありがとうございました。

亀田総合病院 麻酔科 専攻医3年目 栁 俊文

このサイトの監修者

亀田総合病院 副院長 / 麻酔科 主任部長/亀田総合研究所長/臨床研究推進室長/周術期管理センター長 植田 健一
【専門分野】小児・成人心臓麻酔