2023.02.21 麻酔科抄読会

Postoperative Delirium after Dexmedetomidine versus Propofol Sedation in Healthy Older Adults Undergoing Orthopedic Lower Limb Surgery with Spinal Anesthesia: A Randomized Controlled Trial.
Anesthesiology. 2023 Feb 1;138(2):164-171

術後せん妄は、術後の機能回復を遅らせ入院期間の延長をもたらす合併症で、不穏(agitation)を含む過活動型せん妄(hyperactive)により患者自身や医療従事者に危害が及びます。近年、術後せん妄をいかに予防するかが注目されており、特に65歳以上、整形外科手術がリスク因子であるという報告があります。
ICUにおけるデクスメデトミジンによる鎮静は、プロポフォールよりも不穏の発生率が低いという報告を踏まえ、筆者らは、術中の鎮静について研究を行いました。

P:脊髄くも膜下麻酔で下肢の整形外科手術を受けた65歳以上
I :デクスメデトミジンで鎮静
C:プロポフォールで鎮静
O:術後せん妄の発生率(POD1よりPOD3まで)

結果:術中にデクスメデトミジンで鎮静した方が、術後せん妄の発生率は低かった。

抄読会では以下のコメントをいただきました。
・術後疼痛の群間差が不明で、せん妄の発生に影響した可能性を否定できない。
・65歳以上の年齢区分の内訳も不明で、当院の患者様の年齢層を考えると結果を適応できる症例は限定されるかもしれない。

ご参加いただきました先生方、ありがとうございました。

亀田総合病院 専攻医2年目 栁俊文

このサイトの監修者

亀田総合病院
麻酔科主任部長 小林 収

【専門分野】
麻酔、集中治療