百日咳ってどんな病気?

百日咳は、「ボルデテラ・パータシス」という細菌によって起こる感染症です。せきが何週間も続くのが特徴で、特に赤ちゃんにとっては命に関わることもある病気です。
どうやってうつるの?
せきをしたときに出る飛沫(しぶき)を通して、周りの人にうつります。家族の中でうつることも多く、症状が軽い大人から赤ちゃんにうつってしまうことがあります。
うつってから症状が出るまで(潜伏期間)
感染してから7~10日くらいして、せきなどの症状が出てきます。
どんな症状が出るの?
赤ちゃん(特に1歳未満)の場合
最初の1〜2週間(初期)
軽いせきや鼻水、熱が出ることがあります。風邪とよく似ていて気づきにくいです。
その後(発作期)
- せきがだんだん激しくなります。
- 息を吸うときに「ヒューッ」という音が出ることがあります(これを「ウープ」と言います)。
- 長くせき込んだあと、息が止まりそうになったり、顔が紫色になったりします。
- けいれんを起こすことや、ミルクを吐いてしまうこともあります。
- 赤ちゃんの場合、音を立てずに呼吸が止まる「無呼吸発作」が起こることもあります。
その後(回復期)
少しずつせきが減っていきますが、完全に治るまでに何週間もかかることがあります。
小学生以上や大人の場合
- 最初は軽い風邪のような症状で、鼻水やのどの痛み、軽いせきだけのこともあります。
- 数日〜1週間ほどしてから、せきがひどくなり、何回も連続してせき込むようになります。 ・息を吸うときに「ヒュー」と音がすることもあります。 ・大人ではウープの音がはっきりしないこともありますが、「せきが止まらない」「夜に何度も起きる」「せきで吐く」などの症状が続くことがあります。
- 完全にせきが治まるまで、数週間〜数か月かかることがあります。
どんな人が重症化しやすい?
- 生後6か月未満の赤ちゃん
- 妊婦さんやその周りの家族
- 体の抵抗力が弱っている人
赤ちゃんでは、肺炎や脳の障害、呼吸ができなくなることなどもあり、注意が必要です。
こんなときは病院へ

以下のような症状があるときは、早めに小児科や内科を受診してください。
- 赤ちゃんが顔色が悪くなる(紫になる)、けいれんを起こす、息が止まる
- せきが続いて、食事や水分がとれない
- 大人でも、2週間以上せきが続く
- 夜中に何度も目が覚めるほどのせき
- せき込んで吐いてしまう
予防するには?(ワクチンが一番大切です)
赤ちゃん・子どもへの予防接種(日本の定期接種)
百日咳は、「五種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)」や「四種混合ワクチン(DPT-IPV)」で予防できます。
- 1回目〜3回目:生後2・3・4か月ごろ
- 追加接種:1歳〜1歳半ごろ
※このワクチンには百日咳だけでなく、ジフテリア・破傷風・ポリオ・Hibなども含まれています。
10歳以上〜大人への予防(Tdapワクチン)
日本ではまだ広く使われていませんが、アメリカなどでは11歳以上や大人に「Tdapワクチン」をすすめています。
- 妊婦さん:妊娠中にTdapワクチンを受けることで、生まれた赤ちゃんを守ることができます(妊娠27~36週の間に接種)。
- 大人や家族:赤ちゃんのそばにいる人も、Tdapワクチンで感染を防ぎましょう。
まとめ
- 百日咳はせきが長く続く病気で、赤ちゃんは特に重くなることがあります。
- 早めの受診とワクチン接種がとても大切です。
- おとなでも知らないうちに赤ちゃんにうつしてしまうことがあります。
- 妊娠中のワクチン接種や、家族みんなでの予防が赤ちゃんを守るカギです。
補足:米国CDC・ACIPの推奨ポイント
- 子ども:生後2か月から5回のワクチン
- 11~12歳:Tdap追加
- 妊婦:毎回の妊娠でTdap接種
- 成人:Tdapを1回、あとは10年ごとに破傷風ワクチン(Td)