注目論文:地域喘息ガイドラインがSABA処方パターンに与える影響:英国における時系列解析
呼吸器内科
喘息治療におけるSABA(短時間作用性β2刺激薬)の過剰使用抑制は世界的な課題です。英国からのこの研究は、地域の喘息ガイドラインの内容が実際の処方行動にどう影響するかを中断時系列解析という手法で巧みに評価しています。英国の34の地域ガイドラインを初期治療の推奨内容に基づき「SABA優先」「ICS+SABA」「抗炎症リリーバー(AIR)療法」の3群に分類。結果は明確で、AIR療法を推奨するガイドラインが発行された地域で、SABAの処方割合が最も有意に減少しました。これは、単にSABAの過剰使用に警鐘を鳴らすだけでなく、具体的かつ効果的な代替戦略(AIR療法)を明確に提示することが、臨床医の行動変容を促す上で最も重要であることを示唆します。
Impact of regional asthma guidelines on SABA prescribing patterns across England: an interrupted time series analysis
英国全土におけるSABA処方パターンに対する地域喘息ガイドラインの影響:中断時系列解析
Sykes DL, Clarkson MD, Negbenebor A, Cummings H, Faruqi S, Lau O, Ahilal N, Crooks MG.
Thorax. 2025 Sep 2:thorax-2025-223239.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40897544/
英国全土におけるSABA処方パターンに対する地域喘息ガイドラインの影響:中断時系列解析
Sykes DL, Clarkson MD, Negbenebor A, Cummings H, Faruqi S, Lau O, Ahilal N, Crooks MG.
Thorax. 2025 Sep 2:thorax-2025-223239.
背景:
2024年の英国胸部疾患学会(BTS)/英国国立医療技術評価機構(NICE)/スコットランド大学連合ガイドラインネットワーク(SIGN)による喘息ガイドラインは、抗炎症リリーバー(AIR)ベースの管理を推奨しており、短時間作用性β2刺激薬(SABA)の過剰使用を減らす機会を提供しています。英国の多くの地域でも独自のガイドラインが発行されています。
研究デザイン:
34の地域ガイドラインを分析し、推奨される初期治療に基づいて「SABA優先(SABA-first)」「吸入ステロイド(ICS)+SABA」「AIR(頓用AIR)」の3つのカテゴリーに分類しました。公開データを用いた中断時系列解析により、全ICS含有吸入薬およびSABA吸入薬の処方に占めるSABAの割合として表現されるSABA処方量の変化を評価しました。
結果:
AIRを推奨するガイドラインの発行が、SABA処方の最も大きな減少をもたらしました(AIR群:月あたり-0.26% (SD 0.09%))。これは、SABA優先群(月あたり-0.1% (SD 0.03%); AIR群との比較でp=0.001)およびICS+SABA群(月あたり-0.16% (SD 0.06%); AIR群との比較でp=0.004)よりも有意に大きな減少でした。
結論:
地域のガイドラインは現地の処方習慣に影響を与えています。最新の全国的な推奨と整合性をとることで、喘息の処方とそれによる患者アウトカムが改善される可能性があります。
2024年の英国胸部疾患学会(BTS)/英国国立医療技術評価機構(NICE)/スコットランド大学連合ガイドラインネットワーク(SIGN)による喘息ガイドラインは、抗炎症リリーバー(AIR)ベースの管理を推奨しており、短時間作用性β2刺激薬(SABA)の過剰使用を減らす機会を提供しています。英国の多くの地域でも独自のガイドラインが発行されています。
研究デザイン:
34の地域ガイドラインを分析し、推奨される初期治療に基づいて「SABA優先(SABA-first)」「吸入ステロイド(ICS)+SABA」「AIR(頓用AIR)」の3つのカテゴリーに分類しました。公開データを用いた中断時系列解析により、全ICS含有吸入薬およびSABA吸入薬の処方に占めるSABAの割合として表現されるSABA処方量の変化を評価しました。
結果:
AIRを推奨するガイドラインの発行が、SABA処方の最も大きな減少をもたらしました(AIR群:月あたり-0.26% (SD 0.09%))。これは、SABA優先群(月あたり-0.1% (SD 0.03%); AIR群との比較でp=0.001)およびICS+SABA群(月あたり-0.16% (SD 0.06%); AIR群との比較でp=0.004)よりも有意に大きな減少でした。
結論:
地域のガイドラインは現地の処方習慣に影響を与えています。最新の全国的な推奨と整合性をとることで、喘息の処方とそれによる患者アウトカムが改善される可能性があります。