臨床研究

 臨床研究とは、日常診療から生じる「Clinical QuestionCQ)」を科学的に検証し、その疑問を解明する作業を指します。具体的には、「〇〇は実は××ではないか?」といった疑問を、データ収集や解析を通じて検証し、患者に対してより良い医療を提供することを目的としています。

 臨床研究の最大の魅力は、エビデンスの構築を通じて医学の進歩に貢献できる点です。日常の診療から得られた知見をデータとして収集・解析し、その結果を科学的根拠として提示することで、医療の質の向上を図り、患者の治療やケアに直結する成果を得ることができます。さらに、研究結果が国際的なガイドラインに反映される可能性もあるため、世界中の患者に対して貢献できるチャンスも広がります。たとえ小規模な研究であっても、その成果を論文として発表することで、次の大規模な研究につながる可能性があります。CQを検証し、その成果を論文化することによる喜びは非常に大きなものです。臨床研究は、日々の臨床実践をより充実したものにしてくれるのです。

 また、臨床研究に取り組むことで、医師としての臨床能力も飛躍的に向上します。臨床研究を通して,患者の理学所見,検査データ,画像をみて多くの患者を疑似体験することができます。自分で研究をして論文を書くと、他の論文が深く読めるようになります。関連分野の論文を多く読むことで知識が増加します。症例報告では科学的視点から症例を評価し、原著論文では臨床疫学に基づく論理的な考察が求められます。こうした経験は、論理的思考能力を安なうことができるのです。

 このカテゴリーでは、臨床研究の魅力や実践法について発信していきます。