注目論文:長期療養施設入所高齢者における13価肺炎球菌ワクチンの肺炎入院予防効果
呼吸器内科
長期療養施設(LTC)の高齢者という、肺炎の超ハイリスク集団における13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)の有効性を評価した貴重な研究です。米国の大規模データを用いた解析で、PCV13は全原因肺炎による入院リスクを全体で3.8%とわずかながらも統計学的に有意に減少させました。
Effectiveness of 13-Valent Pneumococcal Conjugate Vaccine Against Pneumonia Hospitalization Among Medicare Beneficiaries Aged ≥65 in Long-Term Care
長期療養施設に入所する65歳以上のメディケア受給者における、肺炎による入院に対する13価肺炎球菌結合型ワクチンの有効性
Zielinski L, Andrejko K, Shang N, Park S, Derado G, Lindaas A, Zhang Y, Lufkin B, Chillarige Y, Kobayashi M.
J Infect Dis. 2025 Aug 2:jiaf405.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40751424/
長期療養施設に入所する65歳以上のメディケア受給者における、肺炎による入院に対する13価肺炎球菌結合型ワクチンの有効性
Zielinski L, Andrejko K, Shang N, Park S, Derado G, Lindaas A, Zhang Y, Lufkin B, Chillarige Y, Kobayashi M.
J Infect Dis. 2025 Aug 2:jiaf405.
背景:
長期療養施設(LTC)に入所する成人の間では、肺炎による入院率が高く、この集団における主要な死亡原因となっています。2014年以降、米国では65歳以上の成人に対して肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)が推奨されていますが、LTCに入所する成人における全原因肺炎による入院に対するPCVの有効性は依然として不明です。
研究デザイン:
2014年9月から2019年12月までの間に、メディケアのFee-for-Service請求データを使用して、65歳以上の受給者のオープンコホートを構築しました。LTC滞在中の13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)接種期間と非接種期間における肺炎入院率を比較することにより、PCV13のワクチン有効率(VE)を推定しました。時間変動する曝露と共変量を組み込んだ、一般化推定方程式を用いた離散時間ロジスティック回帰モデルを使用してVEを推定しました。
結果:
適格基準を満たした3,485,071人の受給者のうち、PCV13の接種率は研究期間中に1.1%から52.7%に増加しました。短期LTC滞在者と長期LTC滞在者では、受給者の特性が異なりました。85歳以上の受給者の割合は長期滞在者で高く(LTC滞在≤100日 vs >100日:38.5% vs 48.2%)、一方で慢性疾患(71.4% vs 66.4%)、免疫不全状態(36.6% vs 25.2%)、最近の入院歴(84.1% vs 74.7%)を持つ受給者の割合は短期滞在者で高くなりました。PCV13単独接種による全原因肺炎入院に対するVEは、全体で3.8%(95%信頼区間 2.4%-5.2%)、LTC滞在期間が100日以下の場合は5.6%(3.9%-7.2%)、100日を超える場合は0.3%(-2.1%-2.7%)でした。
結論:
PCV13はこの集団において肺炎による入院リスクを減少させました。LTC滞在期間によるVEの違いは、受給者の特性の違いによって説明できる可能性があります。
長期療養施設(LTC)に入所する成人の間では、肺炎による入院率が高く、この集団における主要な死亡原因となっています。2014年以降、米国では65歳以上の成人に対して肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)が推奨されていますが、LTCに入所する成人における全原因肺炎による入院に対するPCVの有効性は依然として不明です。
研究デザイン:
2014年9月から2019年12月までの間に、メディケアのFee-for-Service請求データを使用して、65歳以上の受給者のオープンコホートを構築しました。LTC滞在中の13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)接種期間と非接種期間における肺炎入院率を比較することにより、PCV13のワクチン有効率(VE)を推定しました。時間変動する曝露と共変量を組み込んだ、一般化推定方程式を用いた離散時間ロジスティック回帰モデルを使用してVEを推定しました。
結果:
適格基準を満たした3,485,071人の受給者のうち、PCV13の接種率は研究期間中に1.1%から52.7%に増加しました。短期LTC滞在者と長期LTC滞在者では、受給者の特性が異なりました。85歳以上の受給者の割合は長期滞在者で高く(LTC滞在≤100日 vs >100日:38.5% vs 48.2%)、一方で慢性疾患(71.4% vs 66.4%)、免疫不全状態(36.6% vs 25.2%)、最近の入院歴(84.1% vs 74.7%)を持つ受給者の割合は短期滞在者で高くなりました。PCV13単独接種による全原因肺炎入院に対するVEは、全体で3.8%(95%信頼区間 2.4%-5.2%)、LTC滞在期間が100日以下の場合は5.6%(3.9%-7.2%)、100日を超える場合は0.3%(-2.1%-2.7%)でした。
結論:
PCV13はこの集団において肺炎による入院リスクを減少させました。LTC滞在期間によるVEの違いは、受給者の特性の違いによって説明できる可能性があります。