間質性肺疾患（ILD）の疫学に関する最新のレビュー論文がLancet Respir Medから発表されました。ILDは疾患概念が複雑で症例の把握も難しく、正確な疫学データの収集は容易ではありません。本レビューでは、特に特発性肺線維症（IPF）、膠原病に伴うILD、過敏性肺炎に焦点が当てられていますが、その他の希少なILDについては依然としてデータが不足している現状が浮き彫りになっています。また、国や地域による医療アクセスや社会経済的格差が予後に影響を与える点も重要です。全国規模のデータベースや環境因子モニタリングといった新たな研究手法が、遺伝的要因と環境要因の相互作用を解明し、増加するILDの疾患負荷を理解する鍵となるでしょう。我々臨床医も、この複雑な疾患群に対するグローバルな視点を持つことが求められます。

背景：
間質性肺疾患（ILD）は希少であり、症例の確認・報告方法に一貫性がないこと、またリスク因子、曝露の程度、医療制度へのアクセスが地域によって異なるため、世界的な発生率と有病率を正確に特定することは困難です。これらの注意点はあるものの、いくつかの研究ではILDの発生率と有病率が経時的に増加していることが報告されています。特発性肺線維症は最も一般的で広範に研究されているILDですが、膠原病に伴うILDや過敏性肺炎は最も地理的な多様性を示します。特発性肺線維症、膠原病に伴うILD、過敏性肺炎、サルコイドーシスを除くと、他のILDに関するデータはほとんどありません。特に低・中所得国では医療へのアクセスが依然として不均一であり、これが大きな健康格差につながっています。社会経済的な不平等も、国内および国家間で罹患率と死亡率に影響を与えています。

研究デザイン：
我々は、ILDの疫学と疾患負荷に関する最新の文献について非系統的レビューを行い、知識に大きなギャップが残り、さらなる研究が必要とされる分野を明らかにしました。

結果：
全国規模の医療データベースや大気汚染曝露のモニタリングといった新しいツールの導入は、ILDの疫学研究に新たな道を開いています。

結論：
遺伝的要因と環境要因の相互作用が、これらの致死的な疾患の負荷増大にどのように寄与しているかの理解は、まだ緒に就いたばかりです。