注目論文:遷延性人工呼吸管理(PMV)患者の長期予後とQOL
呼吸器内科
遷延性人工呼吸管理(PMV)を受ける患者さんの長期予後は、臨床現場での大きな課題です。本研究は、PMV患者の6ヶ月死亡率が約半数にのぼる厳しい現実と、生存退院後の複雑なケアパスを明らかにしました。特に、ウィーニング(人工呼吸器離脱)に成功してもQOLは低下し、不成功例ではさらに厳しい状況が示されています。これは、PMVの開始や継続を判断する際に、単に生命を維持するだけでなく、その後の生活の質を考慮することの重要性を改めて突きつけます。患者さんやご家族と今後の治療方針を話し合う上で、このような客観的なデータは極めて重要であり、意思決定支援の質を高める一助となるでしょう。
Prolonged Mechanical Ventilation in Critically Ill Patients: Six-Month Mortality, Care Pathways, and Quality of Life
重症患者における遷延性人工呼吸管理:6ヶ月死亡率、ケアパス、および生命の質
Paul N, Ribet Buse E, Grunow JJ, et al.
Chest. 2025 Jul;168(1):106-118.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39880302/
重症患者における遷延性人工呼吸管理:6ヶ月死亡率、ケアパス、および生命の質
Paul N, Ribet Buse E, Grunow JJ, et al.
Chest. 2025 Jul;168(1):106-118.
背景:
ICUで遷延性人工呼吸管理(PMV)を受ける患者の長期死亡率、ケアパス、および健康関連QOL(HrQoL)に関する知見は限られています。本研究では、侵襲的PMVを受ける患者の長期死亡率、ケアパス、およびHrQoLを、ウィーニング成功の有無で層別化して明らかにすることを目的としました。
研究デザイン:
クラスター無作為化比較対照試験であるEnhanced Recovery After Intensive Care試験のデータを用いた二次解析を行いました。2つのICUクラスターで治療され、侵襲的PMV(気管内チューブ/気管切開で21日以上、または気管切開で4日以上)を受けた患者を対象としました。ICU退室後6ヶ月間のウィーニング成功、死亡率、療養場所の移行、再入院、HrQoLに関するデータを収集しました。
結果:
ICUでPMVを受けた90名のうち、46%(90名中41名)が死亡しました(ICUで21名、ICU退室後6ヶ月以内に20名)。生存退院した69名のうち、25%(69名中17名)はウィーニングできず、75%(69名中52名)は6ヶ月以内にウィーニングに成功しました。患者は6ヶ月以内に中央値で3回(四分位範囲[Q1, Q3]: 2, 5)の療養場所の移行を経験し、ウィーニング成功群で移行回数が多くなりました(中央値 4 [2, 5] vs 2 [1, 3], P = .004)。全患者の6ヶ月以内の再入院率は46%でした。ウィーニング成功群の半数は在宅へ移行しましたが、不成功群は主にウィーニングセンターから介護施設へ移行するか死亡しました。ウィーニング不成功群は成功群に比べ、6ヶ月以内の質調整生存日数(QALDs)が有意に少数でした(中央値 0 [0, 32.6] vs 73.1 [23.2, 135], P = .002)。
結論:
我々の結果は、PMVを受け生存退院した患者の4分の3はウィーニングできたものの、彼らのHrQoLは低下していることを示しています。PMVを継続する決定は、HrQoLの制限がある中での生活に対する患者の意向と、患者のウィーニングの可能性を考慮に入れるべきです。
ICUで遷延性人工呼吸管理(PMV)を受ける患者の長期死亡率、ケアパス、および健康関連QOL(HrQoL)に関する知見は限られています。本研究では、侵襲的PMVを受ける患者の長期死亡率、ケアパス、およびHrQoLを、ウィーニング成功の有無で層別化して明らかにすることを目的としました。
研究デザイン:
クラスター無作為化比較対照試験であるEnhanced Recovery After Intensive Care試験のデータを用いた二次解析を行いました。2つのICUクラスターで治療され、侵襲的PMV(気管内チューブ/気管切開で21日以上、または気管切開で4日以上)を受けた患者を対象としました。ICU退室後6ヶ月間のウィーニング成功、死亡率、療養場所の移行、再入院、HrQoLに関するデータを収集しました。
結果:
ICUでPMVを受けた90名のうち、46%(90名中41名)が死亡しました(ICUで21名、ICU退室後6ヶ月以内に20名)。生存退院した69名のうち、25%(69名中17名)はウィーニングできず、75%(69名中52名)は6ヶ月以内にウィーニングに成功しました。患者は6ヶ月以内に中央値で3回(四分位範囲[Q1, Q3]: 2, 5)の療養場所の移行を経験し、ウィーニング成功群で移行回数が多くなりました(中央値 4 [2, 5] vs 2 [1, 3], P = .004)。全患者の6ヶ月以内の再入院率は46%でした。ウィーニング成功群の半数は在宅へ移行しましたが、不成功群は主にウィーニングセンターから介護施設へ移行するか死亡しました。ウィーニング不成功群は成功群に比べ、6ヶ月以内の質調整生存日数(QALDs)が有意に少数でした(中央値 0 [0, 32.6] vs 73.1 [23.2, 135], P = .002)。
結論:
我々の結果は、PMVを受け生存退院した患者の4分の3はウィーニングできたものの、彼らのHrQoLは低下していることを示しています。PMVを継続する決定は、HrQoLの制限がある中での生活に対する患者の意向と、患者のウィーニングの可能性を考慮に入れるべきです。