注目論文:COPDの世界的負荷と予防戦略に関する最新レビュー

呼吸器内科
COPDに関する包括的レビューがLancet Respiratory Medicine誌から発表されました。世界で4億人以上が罹患し、死因第3位であるCOPDの現状と対策をまとめています。特に注目すべきは、男性の有病率が減少傾向にある一方、女性では増加が予測されている点です。これは女性の喫煙率低下の遅れやバイオマス燃焼産物への曝露などが背景にあると考察されています。ほとんどのCOPDは予防可能であり、地域ごとのリスク因子を把握し、予防的な保健政策を講じることが重要です。また、膨大な数の未診断例をいかに減らし、早期の二次・三次予防につなげるかという課題も改めて浮き彫りになりました。COPD診療のグローバルな視点を得る上で重要な論文です。
The global burden of COPD: epidemiology and effect of prevention strategies
COPDの世界的負荷:疫学と予防戦略の効果
de Oca MM, Perez-Padilla R, Celli B, Aaron SD, Wehrmeister FC, Amaral AFS, Mannino D, Zheng J, Salvi S, Obaseki D, Buist AS, Menezes A.
Lancet Respir Med. 2025 Jul 14:S2213-2600(24)00339-4.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40684784/
背景:
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は4億人以上に影響を及ぼし、依然として世界の死因第3位であり、有病率、リスク因子、経時的傾向には大きな地域差があります。COPDは主要な社会経済的および健康上の影響と関連しており、特に低・中所得国がその増大する負荷の大部分を占めています。

研究デザイン:
本稿は、COPDの世界的負荷、疫学、予防戦略の効果に関する最新の知見をまとめたレビュー論文です。(※アブストラクトには記載なし)

結果:
女性のCOPD有病率は増加すると予測されている一方、男性では減少すると予測されています。この差は、女性の喫煙率の低下が男性よりも遅いこと、また女性がバイオマス燃焼生成物などの他のリスク因子に曝露される可能性が高いことが原因と考えられます。喫煙や環境因子が発症に果たす役割を考えると、ほとんどのCOPD症例は予防可能です。

結論:
世界各地におけるCOPDの原因に関する知識は、疾患の地理的不平等を是正し、COPD予防を現実のものとするための新たな洞察を提供する可能性があります。低・中所得国の女性におけるCOPDの予想される増加を緩和し、すでに疾患の有病率が高い一部の地域で成功を収めている予防的な保健政策を実施することが重要です。さらに、効果的な二次・三次予防介入を提供するためには、膨大な数の未診断COPDの負荷を軽減する必要があります。