注目論文:市中肺炎の診断と管理に関するATS最新ガイドライン

呼吸器内科
米国胸部疾患学会(ATS)から、市中肺炎(CAP)の診断と治療に関する新しい臨床診療ガイドラインが発表されました。今回の改訂では、肺エコーの診断活用、呼吸器ウイルス検査陽性時の経験的抗菌薬療法、抗菌薬の期間、そして全身性ステロイドの使用という、臨床現場で特に議論の多い4つの重要な点について推奨が示されています。日常診療に直結する内容であり、特に近年注目されるウイルス感染合併時の対応や、ステロイドの適応についてのエビデンスに基づいた推奨は、我々の診療をアップデートする上で極めて重要です。
Diagnosis and Management of Community-acquired Pneumonia. An Official American Thoracic Society Clinical Practice Guideline.
市中肺炎の診断と管理。米国胸部疾患学会公式臨床診療ガイドライン。
Jones BE, Ramirez JA, Oren E, Soni NJ, Sullivan LR, Restrepo MI, Musher DM, Erstad BL, Pickens C, Vaughn VM, Helgeson SA, Crothers K, Metlay JP, Bissell B, Cao B, Chalmers JD, Dela Cruz CS, Gendlina I, Hojat LS, Laguio-Vila M, Liang SY, Waterer GW, Paine M, Hawkins C, Wilson K.
Am J Respir Crit Care Med. 2025 Jul 18.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40679934/
背景:
成人市中肺炎(CAP)の診断と治療に関する理解は、新たなエビデンス、経験、そして新興技術のおかげで進化してきました。この文書は、成人CAP患者の診断と管理に関する4つの重要な疑問に対するエビデンスに基づいた臨床診療ガイドラインを更新するものです。

研究デザイン:
多分野の専門家からなるパネルが、比較エビデンスの系統的レビューを他の関連研究や臨床経験と統合し、その後、推奨グレード評価、開発、評価(GRADE)方法論を適用して、エビデンスから意思決定への枠組み(Evidence to Decision Framework)を用いて推奨を作成しました。

結果:
パネルは、CAPに関する疑問に対処する臨床的推奨を策定しました。これには、診断のための肺エコー、呼吸器ウイルス検査が陽性の場合の経験的抗菌薬療法、抗菌薬の投与期間、および全身性コルチコステロイドの使用が含まれます。

結論:
パネルは、成人CAP患者に対する選択された診断および治療戦略に関する推奨事項を策定し、その根拠を提供しました。