注目論文:ICUにおけるニューモシスチス肺炎の死亡率と予後不良因子
呼吸器内科
ニューモシスチス肺炎(PCP)は、もはやHIV感染症に特有の疾患ではありません。本研究は、ICUに入室したPJP患者の30日死亡率が52.7%と依然として極めて高いことを示しており、特に非HIVの免疫不全患者における本症の重篤さを浮き彫りにしています。多変量解析の結果、転移性固形癌と慢性肝疾患が独立した死亡の予測因子であった点は、臨床現場で患者の予後を評価し、治療方針を決定する上で非常に重要な情報です。HIV以外の背景を持つ免疫不全患者が増加する現代において、PCPを常に鑑別に挙げ、これらのリスク因子を持つ患者では特に警戒を強める必要性を再認識させられる研究です。
Mortality of Pneumocystis jirovecii pneumonia in intensive care units: a post-hoc analysis of an international multicenter study by ESGCIP and EFISG
集中治療室におけるニューモシスチス・イロベチイ肺炎の死亡率:ESGCIPとEFISGによる国際多施設共同研究の事後解析
Giacobbe DR, Dettori S, Di Pilato V, Asperges E, Ball L, et al.
Ann Med. 2025 Dec;57(1):2511043.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40515506/
集中治療室におけるニューモシスチス・イロベチイ肺炎の死亡率:ESGCIPとEFISGによる国際多施設共同研究の事後解析
Giacobbe DR, Dettori S, Di Pilato V, Asperges E, Ball L, et al.
Ann Med. 2025 Dec;57(1):2511043.
背景:
ニューモシスチス・イロベチイ肺炎(PJP)は生命を脅かす疾患である。集中治療室(ICU)において、PJPはヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染とは関連のない、いくつかの病態を持つ患者で最も頻繁に観察される。
研究デザイン:
この多施設、多国籍、後ろ向き研究の事後解析の主要目的は、単変量および多変量解析を通じて、ICUのPJP患者における予後に影響を与える因子を評価することであった。
結果:
合計107名の患者が組み入れられた。28名が確定PJP(26.2%)、79名が推定PJP(73.8%)であった。全体の30日死亡率は52.7%(95%信頼区間[CI] 42.1-62.2)であった。多変量解析において、転移性固形腫瘍(ハザード比[HR] 3.49; 95% CI 1.71-7.13, p < 0.001)および慢性肝疾患(HR 2.44; 95% CI 1.03-5.80, p = 0.044)が、30日死亡率と独立した関連を示した。この効果の方向性は、施設をランダム効果として多変量モデルに加えた場合でも一貫していた。
結論:
ICU患者におけるPJPの死亡率は依然として高い。HIV感染以外の病態が、PJP発症の非古典的な危険因子としてだけでなく、重要な死亡予測因子としても台頭してきている。この進化する状況の背景にある理由をより良く理解することが、PJPの管理と生存率を改善するために極めて重要となりうる。
ニューモシスチス・イロベチイ肺炎(PJP)は生命を脅かす疾患である。集中治療室(ICU)において、PJPはヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染とは関連のない、いくつかの病態を持つ患者で最も頻繁に観察される。
研究デザイン:
この多施設、多国籍、後ろ向き研究の事後解析の主要目的は、単変量および多変量解析を通じて、ICUのPJP患者における予後に影響を与える因子を評価することであった。
結果:
合計107名の患者が組み入れられた。28名が確定PJP(26.2%)、79名が推定PJP(73.8%)であった。全体の30日死亡率は52.7%(95%信頼区間[CI] 42.1-62.2)であった。多変量解析において、転移性固形腫瘍(ハザード比[HR] 3.49; 95% CI 1.71-7.13, p < 0.001)および慢性肝疾患(HR 2.44; 95% CI 1.03-5.80, p = 0.044)が、30日死亡率と独立した関連を示した。この効果の方向性は、施設をランダム効果として多変量モデルに加えた場合でも一貫していた。
結論:
ICU患者におけるPJPの死亡率は依然として高い。HIV感染以外の病態が、PJP発症の非古典的な危険因子としてだけでなく、重要な死亡予測因子としても台頭してきている。この進化する状況の背景にある理由をより良く理解することが、PJPの管理と生存率を改善するために極めて重要となりうる。