注目論文:高齢重症市中肺炎におけるステロイド治療の有効性と安全性
呼吸器内科
高齢者の重症市中肺炎(sCAP)に対するステロイド治療は、その有効性と安全性を巡り議論が続いていました。本メタアナリシスは、9つのRCTを統合し、ステロイドが30日全死因死亡率を低下させることを示唆しています。また、入院期間や人工呼吸器使用期間の短縮効果も認められました。有害事象については有意な増加は認められなかったものの、定義のばらつきがあり、さらなる検討が必要です。高齢者におけるsCAPは予後不良であるため、本結果は臨床現場での治療選択に重要な示唆を与えるものです。
Efficacy and safety of glucocorticoids therapy of severe community-acquired pneumonia in older adults: a systematic review and meta-analysis
高齢者における重症市中肺炎に対するグルココルチコイド療法の有効性と安全性:システマティックレビューとメタアナリシス
Ali M, Liu J, Zheng Y, Chen J, He Z, Jiang X, Luo Y, Zheng X, Long H.
BMC Geriatr. 2025 Apr 5;25(1):225.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40188018/
高齢者における重症市中肺炎に対するグルココルチコイド療法の有効性と安全性:システマティックレビューとメタアナリシス
Ali M, Liu J, Zheng Y, Chen J, He Z, Jiang X, Luo Y, Zheng X, Long H.
BMC Geriatr. 2025 Apr 5;25(1):225.
背景:
高齢の重症市中肺炎(sCAP)患者におけるコルチコステロイドの使用については、依然として議論の余地があります。このメタアナリシスは、高齢sCAP患者の治療におけるコルチコステロイドの有効性と安全性を徹底的に評価することを目的としました。
研究デザイン:
Public Medline、Excerpta Medica Database、Web of Science、Cochrane Library、China National Knowledge Infrastructure、Wanfang Database、SinoMedを対象に、利用可能な最も古い記録から2024年9月15日までを網羅する包括的な検索を行いました。ランダム化比較試験(RCT)を対象としました。主要評価項目は30日全死因死亡率とし、安全性評価項目には消化管出血、二次感染、急性腎障害を含めました。
結果:
このメタアナリシスには、9つのRCTからの2,034人の患者データが含まれ、コルチコステロイド療法が30日全死因死亡率の低下と関連していることが示されました(リスク比 (RR) = 0.67; 95%信頼区間 [CI], 0.52-0.86; P = 0.002)。コルチコステロイドの使用は、入院期間および集中治療室滞在期間の短縮、人工呼吸器使用の必要性の減少、昇圧剤依存の低下、C反応性タンパク質のレベルの低下とも関連していました。安全性に関して、コルチコステロイドは重複感染(RR = 0.78; 95% CI, 0.54-1.13; P = 0.19)、上部消化管出血(RR = 0.71; 95% CI, 0.35-1.44; P = 0.34)、または急性腎障害(RR = 0.71; 95% CI, 0.23-2.21; P = 0.56)のリスクを有意に増加させませんでした。
結論:
このメタアナリシスは、グルココルチコイドの使用が高齢sCAP患者の生存率向上と関連していることを示しましたが、安全性評価項目については研究定義のばらつきにより不確実性が残ります。
高齢の重症市中肺炎(sCAP)患者におけるコルチコステロイドの使用については、依然として議論の余地があります。このメタアナリシスは、高齢sCAP患者の治療におけるコルチコステロイドの有効性と安全性を徹底的に評価することを目的としました。
研究デザイン:
Public Medline、Excerpta Medica Database、Web of Science、Cochrane Library、China National Knowledge Infrastructure、Wanfang Database、SinoMedを対象に、利用可能な最も古い記録から2024年9月15日までを網羅する包括的な検索を行いました。ランダム化比較試験(RCT)を対象としました。主要評価項目は30日全死因死亡率とし、安全性評価項目には消化管出血、二次感染、急性腎障害を含めました。
結果:
このメタアナリシスには、9つのRCTからの2,034人の患者データが含まれ、コルチコステロイド療法が30日全死因死亡率の低下と関連していることが示されました(リスク比 (RR) = 0.67; 95%信頼区間 [CI], 0.52-0.86; P = 0.002)。コルチコステロイドの使用は、入院期間および集中治療室滞在期間の短縮、人工呼吸器使用の必要性の減少、昇圧剤依存の低下、C反応性タンパク質のレベルの低下とも関連していました。安全性に関して、コルチコステロイドは重複感染(RR = 0.78; 95% CI, 0.54-1.13; P = 0.19)、上部消化管出血(RR = 0.71; 95% CI, 0.35-1.44; P = 0.34)、または急性腎障害(RR = 0.71; 95% CI, 0.23-2.21; P = 0.56)のリスクを有意に増加させませんでした。
結論:
このメタアナリシスは、グルココルチコイドの使用が高齢sCAP患者の生存率向上と関連していることを示しましたが、安全性評価項目については研究定義のばらつきにより不確実性が残ります。