複十字病院森本先生が書かれた肺MAC症の包括的管理アルゴリズムのレビューです。

マイコバクテリウム・アビウム複合体（MAC）肺疾患（MAC-PD）の管理は、標準治療の効果が限定的であり、有害事象が頻繁に発生するため、困難です。米国胸部学会、欧州呼吸器学会、欧州臨床微生物感染症学会、米国感染症学会による2020年のガイドラインでは推奨事項が示されていますが、実臨床での遵守はこれらの問題によってしばしば妨げられ、多くの患者が標準治療を完了できない状況に至っています。本レビューでは、MAC-PDに対する包括的な管理アルゴリズムを提案し、多分野にわたるアプローチを強調し、患者の転帰を改善するために薬物治療の前、中、後に非抗菌薬管理を統合することを提唱します。

非結核性抗酸菌を示唆する慢性の呼吸器症状を呈する患者が現れた場合、非特異的な症状のために診断の遅延が一般的であるため、臨床医はガイドラインに基づいた診断アプローチに従うべきです。適切な評価により、疾患表現型（空洞病変の有無）を決定すべきであり、これは治療選択に影響を与えます。気道クリアランス、栄養サポート、基礎疾患の管理は、不可欠な非抗菌薬的要素です。定期的な外来モニタリングは、病状の進行を検出し、治療を最適化するのに役立ちます。
治療戦略は疾患の重症度によって異なります。非空洞性の結節性気管支拡張症に対しては、忍容性が良好であるため、週3回投与レジメンが推奨されます。重症例や空洞型の場合は、アミノグリコシド系抗菌薬を追加した連日治療が必要となる場合があります。標準レジメンに6ヶ月間反応しない患者には、アミカシンリポソーム吸入懸濁液が推奨されます。最近の研究では薬剤不耐性に対処しており、特定の場合にはリファマイシン（リファンピシン）を含まない2剤併用療法などの代替案が提案されています。複雑な症例、特にマクロライド耐性や外科的介入が必要な症例については、非結核性抗酸菌の専門医への相談が推奨されます。

このアルゴリズムは、アドヒアランスと転帰を改善するために、共同意思決定、患者教育、家族支援を強調しています。