注目論文:ライフスタイル要因とCOPD有病率の関連:食事パターンと睡眠の質が鍵

呼吸器内科
本研究はイランの大規模コホート研究からCOPDと生活習慣の関連を検討したものです。特に注目すべきは、果物・野菜・全粒穀物を多く含む健康的な食事パターンがCOPD有病率の低下と関連した点です。一方で睡眠の質の低下はCOPD有病率と正の相関を示しました。身体活動レベルはCOPD群と非COPD群で有意差を認めませんでした。
Association of lifestyle components with prevalence of chronic obstructive pulmonary disease (COPD): Findings of a cohort study
生活習慣要素と慢性閉塞性肺疾患(COPD)有病率の関連:コホート研究の知見
Davoudi Dastenaei F, Belyani S, Esfahani AJ, Bahari H, Hashemi Javaheri FS, Khosravi M, Amini M, Rezvani R.
Respir Med. 2025 Apr-May;240:108013.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40015350/
背景:
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は様々な生活習慣因子の影響を受ける複雑な疾患です。食事パターン、身体活動、睡眠の質はCOPDの有病率と管理において重要な役割を果たしています。本研究ではマシュハド医科大学におけるPERSIAN組織コホート研究(POCM)のデータを用いて、食事パターン、身体活動、睡眠の質とCOPD有病率との関連を評価することを目的としました。

研究デザイン:
本コホート研究ではPOCMの12,000人の参加者のデータを使用しました。食事摂取は食物頻度質問票を用いて評価し、身体活動は国際身体活動質問票で測定、睡眠の質はピッツバーグ睡眠質問票を用いて評価しました。スパイロメトリーを実施してCOPDの診断と重症度分類を行いました。

結果:
対象となった4,269人の参加者のうち、3,768人(91%)が健常者で、373人(9%)がCOPDを有していました。最も高い四分位と比較して、健康的な食事パターンの第2四分位と第3四分位はCOPD有病率と負の関連を示し、交絡因子を調整した後もこの関連は維持されました。ファストフード食事パターンの第2四分位はCOPD有病率と正の関連を示しました。また、高齢と睡眠の質の低下もCOPD有病率の上昇と有意に関連していました。身体活動レベルは健常者とCOPD患者の間で差が認められませんでした。

結論:
本研究の知見は、果物、野菜、全粒穀物をより多く含む健康的な食事がCOPD発症率の低下と関連しており、一方でCOPD発症率は睡眠の質の低下と関連していることを示しています。これらの結果は、生活習慣因子と呼吸器健康の間の相互作用の可能性を強調しています。