注目論文:COVID-19更新ワクチン未接種予測のための臨床ツール開発

呼吸器内科
COVID-19更新ワクチンの接種率は低く、米国大手医療機関Kaiser Permanenteの調査でも接種率は約20%に留まっています。本研究の価値は、電子カルテに含まれる変数から更新ワクチン未接種を予測するモデルを開発した点にあります。特に過去のbivalentワクチンやインフルエンザワクチン未接種が強力な予測因子であることが示されました。この結果は、限られたリソースを効果的に活用するための介入戦略立案に役立つでしょう。ワクチン接種率向上が課題となる日本の医療現場でも、既存の医療データを活用した類似モデルの構築が期待されます。
Development and validation of a clinical prediction tool for non-receipt of updated COVID-19 vaccines
COVID-19更新ワクチン未接種を予測する臨床ツールの開発と検証
Bruxvoort KJ, Sy LS, Contreras R, Lewin B, Hong V, Qian L, Holmquist KJ, Han B, Xu S.
Vaccine. 2025 Apr 10;53:127074.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40215705/
背景:
循環しているSARS-CoV-2変異株に対する防御を維持するためには、更新されたCOVID-19ワクチンの接種が重要です。

研究デザイン:
米国カリフォルニア州南部のKaiser Permanenteにおいて、更新されたCOVID-19ワクチン未接種を予測するモデルを開発・検証しました。3,287,287人の成人のうち、20.2%が2023-2024年のCOVID-19ワクチンを接種していました。電子カルテで入手可能な15の変数とCOVID-19更新ワクチン(2023-2024年)未接種との関連を評価しました。コホートは開発サンプルと検証サンプルに分割されました。

結果:
開発サンプルにおける15変数モデルの性能は中程度で、スケーリングされたBrierスコアが35.6%、R²が29.3%、C統計量が0.882、判別傾斜が0.354、較正傾斜が1でした。検証サンプルおよび簡略化された6変数モデルと2変数モデルでも同様の性能が示されました。最も強力な予測因子は、二価COVID-19ワクチンまたはインフルエンザワクチンの過去の未接種でした。

結論:
これらの結果は、医療提供者が利用できる変数を用いた簡易モデルが、更新されたCOVID-19ワクチンの介入戦略を導くために最適化できることを示唆しています。