注目論文:EGFR変異陽性非小細胞肺癌初回治療におけるエルロチニブ+ラムシルマブ併用療法の生存期間最終解析
呼吸器内科
RELAY試験の最終全生存期間解析結果が報告されました。この試験では、EGFR変異陽性非小細胞肺癌の初回治療においてエルロチニブ+ラムシルマブ併用がPFSを有意に延長することが示されていましたが、今回の最終解析ではOSの有意な改善は認められませんでした。両群とも約4年の長期生存が得られており、後治療としてオシメルチニブが50%以上の症例で使用されています。L858R変異やTP53共変異といった予後不良因子を持つサブグループでOSの改善傾向が見られた点で、この治療戦略が特定の集団で有効である可能性を示唆しています。
RELAY: Final Overall Survival for Erlotinib Plus Ramucirumab or Placebo in Untreated, EGFR-Mutated Metastatic NSCLC
RELAY:未治療EGFR変異陽性転移性非小細胞肺癌におけるエルロチニブ+ラムシルマブまたはプラセボ併用療法の最終全生存期間解析
Nakagawa K, Garon EB, Seto T, Nishio M, Aix SP, Paz-Ares L, Chiu CH, Park K, Novello S, Nadal E, Nishino K, Yoh K, Shih JY, Chik JYK, Moro-Sibilot D, Puri T, Chacko Varughese S, Frimodt-Moller B, Visseren-Grul C, Reck M.
J Thorac Oncol. 2025 Apr;20(4):487-499.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39622410/
RELAY:未治療EGFR変異陽性転移性非小細胞肺癌におけるエルロチニブ+ラムシルマブまたはプラセボ併用療法の最終全生存期間解析
Nakagawa K, Garon EB, Seto T, Nishio M, Aix SP, Paz-Ares L, Chiu CH, Park K, Novello S, Nadal E, Nishino K, Yoh K, Shih JY, Chik JYK, Moro-Sibilot D, Puri T, Chacko Varughese S, Frimodt-Moller B, Visseren-Grul C, Reck M.
J Thorac Oncol. 2025 Apr;20(4):487-499.
背景:
RELAY試験は、未治療のEGFR変異陽性転移性非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象とした国際的な二重盲検プラセボ対照第III相試験(NCT02411448)です。この試験では、ラムシルマブ(RAM)とエルロチニブ(ERL)の併用療法により無増悪生存期間(PFS)の有意な改善が認められました(ハザード比[HR]=0.59、95%信頼区間[CI]:0.46-0.76、p<0.0001;中央値PFS:19.4ヶ月対12.4ヶ月)。本報告では、Intention-to-treat集団における最終全生存期間(OS)(副次評価項目)の結果を報告します。
研究デザイン:
2016年1月から2018年2月の間に、EGFR遺伝子エクソン19欠失またはL858R変異を有し、中枢神経系転移のない適格患者449名を(1:1)の割合で、エルロチニブ(150mg/日)とラムシルマブ(10mg/kg、2週間ごと、N=224)またはプラセボ(N=225)に無作為に割り付けました。
結果:
データカットオフ時点で297例の死亡が報告され(全イベント率=66%)、追跡期間の中央値は45.1ヶ月(四分位範囲:26.7-71.2)でした。OSのハザード比は0.98(95%CI:0.78-1.24、p=0.864)、OS中央値はRAM+ERL群で51.1ヶ月、プラセボ+ERL群で46.0ヶ月でした。予後不良サブグループ(L858R変異またはTP53共変異)ではOSの改善傾向が示唆されました(L858R:HR=0.87、95%CI:0.62-1.22;エクソン19欠失:HR=1.13、95%CI:0.83-1.55;TP53共変異:HR=0.83、95%CI:0.58-1.19;TP53野生型:HR=1.22、95%CI:0.87-1.72)。治療中に出現したT790M変異の頻度は両群間で同等でした。80%以上の患者が試験治療中止後に後治療を受け(50%以上が両群で同程度の割合でオシメルチニブを投与)、RAM+ERLの安全性プロファイルは以前の報告と一致しており、時間経過による毒性増加や新たな安全性シグナルは観察されませんでした。
結論:
RELAY試験では、OSの有意な改善は認められず、両治療群とも同様の長期OSが達成されました。
RELAY試験は、未治療のEGFR変異陽性転移性非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象とした国際的な二重盲検プラセボ対照第III相試験(NCT02411448)です。この試験では、ラムシルマブ(RAM)とエルロチニブ(ERL)の併用療法により無増悪生存期間(PFS)の有意な改善が認められました(ハザード比[HR]=0.59、95%信頼区間[CI]:0.46-0.76、p<0.0001;中央値PFS:19.4ヶ月対12.4ヶ月)。本報告では、Intention-to-treat集団における最終全生存期間(OS)(副次評価項目)の結果を報告します。
研究デザイン:
2016年1月から2018年2月の間に、EGFR遺伝子エクソン19欠失またはL858R変異を有し、中枢神経系転移のない適格患者449名を(1:1)の割合で、エルロチニブ(150mg/日)とラムシルマブ(10mg/kg、2週間ごと、N=224)またはプラセボ(N=225)に無作為に割り付けました。
結果:
データカットオフ時点で297例の死亡が報告され(全イベント率=66%)、追跡期間の中央値は45.1ヶ月(四分位範囲:26.7-71.2)でした。OSのハザード比は0.98(95%CI:0.78-1.24、p=0.864)、OS中央値はRAM+ERL群で51.1ヶ月、プラセボ+ERL群で46.0ヶ月でした。予後不良サブグループ(L858R変異またはTP53共変異)ではOSの改善傾向が示唆されました(L858R:HR=0.87、95%CI:0.62-1.22;エクソン19欠失:HR=1.13、95%CI:0.83-1.55;TP53共変異:HR=0.83、95%CI:0.58-1.19;TP53野生型:HR=1.22、95%CI:0.87-1.72)。治療中に出現したT790M変異の頻度は両群間で同等でした。80%以上の患者が試験治療中止後に後治療を受け(50%以上が両群で同程度の割合でオシメルチニブを投与)、RAM+ERLの安全性プロファイルは以前の報告と一致しており、時間経過による毒性増加や新たな安全性シグナルは観察されませんでした。
結論:
RELAY試験では、OSの有意な改善は認められず、両治療群とも同様の長期OSが達成されました。