注目論文:COPD患者における吸入ステロイド長期使用と有害転帰の関連性
呼吸器内科
本研究は電子カルテデータを用いた大規模コホート研究で、COPD患者における吸入ステロイド(ICS)の長期使用が、短期使用と比較して2型糖尿病、白内障、肺炎、骨粗鬆症、非外傷性骨折などの有害転帰リスクを有意に増加させることを示しています。特に注目すべきは、新規診断コホートにおける複合転帰のNNHが5と非常に小さい点です。最近の各種ガイドラインでもCOPD患者へのICS使用は限定的な適応に絞られつつありますが、本研究はその妥当性を裏付ける強力なエビデンスと言えます。日常診療でのCOPD患者におけるICS適応を今一度見直す機会として重要な研究です。
Adverse Outcomes Associated With Inhaled Corticosteroid Use in Individuals With Chronic Obstructive Pulmonary Disease
慢性閉塞性肺疾患患者における吸入ステロイド使用に関連する有害転帰
Pace WD, Callen E, Gaona-Villarreal G, Shaikh A, Yawn BP.
Ann Fam Med. 2025 Mar 24;23(2):127-135.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40127974/
慢性閉塞性肺疾患患者における吸入ステロイド使用に関連する有害転帰
Pace WD, Callen E, Gaona-Villarreal G, Shaikh A, Yawn BP.
Ann Fam Med. 2025 Mar 24;23(2):127-135.
背景:
本研究は慢性閉塞性肺疾患(COPD)管理における吸入ステロイド(ICS)の長期使用リスクを評価することを目的としました。
研究デザイン:
データリポジトリから45歳以上のCOPD患者の電子カルテデータを抽出しました。既存コホートは観察期間中のいつでもCOPD診断がある患者、新規コホートはデータベース登録後にCOPD診断を受けた患者としました。2型糖尿病、白内障、肺炎、骨粗鬆症、非外傷性骨折の新規診断からなる複合転帰と、反復性肺炎または非外傷性骨折の再発転帰について、長期(24か月超)対短期(4か月未満)のICS曝露で比較しました。
結果:
既存コホート318,385人と新規コホート209,062人の転帰を評価しました。複合転帰は長期ICS使用群で短期使用群と比較して、既存コホート(ハザード比[HR] = 2.65; 95% CI, 2.62-2.68; P <.001)および新規コホート(HR = 2.60; 95% CI, 2.56-2.64; P <.001)ともに有意に高値でした。新規コホートでは、複合転帰の絶対リスク差は20.26%(29.41%−9.15%)で、有害事象必要数(NNH)は5でした。既存コホートと新規コホートにおいて、反復性肺炎(HR = 2.88; 95% CI, 2.62-3.16; P <.001および HR = 2.85; 95% CI, 2.53-3.22; P <.001)および反復性骨折(HR = 1.77; 95% CI, 1.42-2.21; P <.001および HR = 1.57; 95% CI, 1.20-2.06; P <.001)のハザード比も有意に上昇していました。
結論:
COPDに対する長期ICS使用は、2型糖尿病、白内障、肺炎、骨粗鬆症、非外傷性骨折の複合転帰、反復性肺炎、および反復性骨折の発生率が有意に高いことと関連しています。
本研究は慢性閉塞性肺疾患(COPD)管理における吸入ステロイド(ICS)の長期使用リスクを評価することを目的としました。
研究デザイン:
データリポジトリから45歳以上のCOPD患者の電子カルテデータを抽出しました。既存コホートは観察期間中のいつでもCOPD診断がある患者、新規コホートはデータベース登録後にCOPD診断を受けた患者としました。2型糖尿病、白内障、肺炎、骨粗鬆症、非外傷性骨折の新規診断からなる複合転帰と、反復性肺炎または非外傷性骨折の再発転帰について、長期(24か月超)対短期(4か月未満)のICS曝露で比較しました。
結果:
既存コホート318,385人と新規コホート209,062人の転帰を評価しました。複合転帰は長期ICS使用群で短期使用群と比較して、既存コホート(ハザード比[HR] = 2.65; 95% CI, 2.62-2.68; P <.001)および新規コホート(HR = 2.60; 95% CI, 2.56-2.64; P <.001)ともに有意に高値でした。新規コホートでは、複合転帰の絶対リスク差は20.26%(29.41%−9.15%)で、有害事象必要数(NNH)は5でした。既存コホートと新規コホートにおいて、反復性肺炎(HR = 2.88; 95% CI, 2.62-3.16; P <.001および HR = 2.85; 95% CI, 2.53-3.22; P <.001)および反復性骨折(HR = 1.77; 95% CI, 1.42-2.21; P <.001および HR = 1.57; 95% CI, 1.20-2.06; P <.001)のハザード比も有意に上昇していました。
結論:
COPDに対する長期ICS使用は、2型糖尿病、白内障、肺炎、骨粗鬆症、非外傷性骨折の複合転帰、反復性肺炎、および反復性骨折の発生率が有意に高いことと関連しています。