注目論文:実臨床における重症喘息に対する抗IL-5/5Rα生物学的製剤の有効性:システマティックレビューとメタ解析

呼吸器内科
実臨床における抗IL-5/5Rα生物学的製剤の治療効果を9,546例という大規模な患者データから検証した重要な研究です。12ヶ月の治療で重症増悪が62%、入院が54%減少し、経口ステロイド使用量も51%減少していることが示されました。特に経口ステロイドの平均6.01mg/日の減量は、ステロイド関連合併症の軽減につながる重要な知見です。
Effectiveness of anti-IL-5/5Rα biologics in severe asthma in real-world studies: a systematic review and meta-analysis
実臨床研究における重症喘息に対する抗IL-5/5Rα生物学的製剤の有効性:システマティックレビューとメタ解析
Kyriakopoulos C, Papadopoulou E, Potonos D, Exarchos K, Beris E, Aggelopoulou C, Tryfon S, Gogali A, Kostikas K.
ERJ Open Res. 2025 Mar 24;11(2):00625-2024.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40129552/
背景:
重症喘息患者に対して、インターロイキン5(IL-5)またはその受容体α(IL-5Rα)を標的とする3種類の生物学的製剤が承認されている。

研究デザイン:
2023年5月1日までにMedlineとEmbaseに発表された文献を系統的に検索し、実臨床における重症好酸球性喘息患者の抗IL-5/5Rα治療への反応を評価した観察研究および非ランダム化試験を特定した。さらにランダム効果モデルによるメタ解析を実施した。

結果:
6,401件の研究を特定し、そのうち92件(患者数9,546名)を解析した。生物学的製剤の使用は、治療前と比較して12ヶ月時点で重症増悪が62%減少(リスク比0.38、95%信頼区間[CI] 0.29-0.50)し、入院が54%減少(リスク比0.46、95% CI 0.35-0.61)した。また生物学的製剤は喘息コントロールを改善し(喘息コントロール質問票スコアが1.11ポイント減少[95% CI -1.29--0.94]、喘息コントロールテストスコアが6.41ポイント増加[95% CI 5.66-7.16])、喘息生活の質質問票スコアを1.08ポイント(95% CI 0.88-1.28)、1秒量を0.21L(95% CI 0.15-0.27)増加させた。12ヶ月時点での経口コルチコステロイド使用は51%有意に減少し(リスク比0.49、95% CI 0.42-0.56)、平均投与量は6.01mg/日減少した(95% CI -7.55--4.48)。同様の結果が3-4ヶ月、6ヶ月、24ヶ月時点でも観察された。また、バイオマーカー関連の治療反応も認められた。

結論:
この包括的なメタ解析は、実臨床研究における抗IL-5/5Rα生物学的製剤の有意な臨床効果をまとめたものであり、臨床実践におけるこれらの薬剤使用に関する重要な知見を提供している。