注目論文:結核治療後患者における慢性肺アスペルギルス症の系統的レビュー

呼吸器内科
結核治療後の患者における慢性肺アスペルギルス症(CPA)の発生率が非常に高いことが明らかになりました。特に呼吸器症状が持続する患者では、治療後のCPA有病率が48%に達することは臨床的に重要です。この結果は、結核後肺疾患(PTLD)の管理において、ルーチンのCPAスクリーニングが極めて重要であることを示唆しています。
A systematic review of chronic pulmonary aspergillosis among patients treated for pulmonary tuberculosis
結核治療患者における慢性肺アスペルギルス症の系統的レビュー
Madden A, Ofori SK, Budu M, Sisay E, Dooley B, Murray MB.
Clin Infect Dis. 2025 Mar 21:ciaf150. doi: 10.1093/cid/ciaf150.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40117217/
背景:
結核(TB)は世界的な健康問題であり、成功した治療後も長期的な合併症が持続する。慢性肺アスペルギルス症(CPA)は結核生存者に頻繁に発症する進行性の真菌症であり、結核後肺疾患(PTLD)の一因となっている。診断の困難さとデータ不足により、結核患者におけるCPAの真の負担は不明確である。我々は、結核既往または併発患者におけるCPAの有病率を推定することを目的とした。

研究デザイン:
2025年1月10日までPubMed、Cochrane Library、Web of Science、Science Directで系統的検索を実施した。対象となるコホート研究および横断研究は、臨床症状、画像所見、微生物学的証拠に基づいて診断された結核患者におけるCPA有病率を報告したものとした。3名のレビュアーが1,575件の研究をスクリーニングし、118件の全文を評価、最終的に22件の研究(2,884名の患者)を対象とした。ランダム効果モデルを用いたメタ解析でCPA有病率を推定し、サブグループ解析とメタ回帰分析でCPA負担に影響する因子を検討した。

結果:
CPA有病率は評価のタイミングと症状の有無により異なっていた。全結核患者において、CPA有病率は治療中で9%(95%CI: 6%, 12%)、治療後で13%(95%CI: 6%, 27%)であった。持続的な呼吸器症状を有する患者では、CPA有病率は治療中で20%、治療後で48%(95%CI: 36%, 61%)であった。メタ回帰分析では、症状の有無とCPA評価のタイミングがCPA有病率の有意な予測因子として同定された。

結論:
特に持続的な症状を有する結核生存者におけるCPA負担の高さは、結核プログラムにおけるルーチンのCPAスクリーニングの必要性を強調している。早期発見と標的を絞った介入により、呼吸器合併症を減らし患者の転帰を改善できる可能性がある。