注目論文:COPDにおけるスマートフォンアプリを用いた呼吸リハビリテーションの効果
呼吸器内科
COPDに対するスマートフォンアプリを使用した呼吸リハビリテーション(PR)の効果を検証した多施設ランダム化比較試験の結果です。アプリを使用した介入群と強化型標準治療群の間では、CAT(COPD評価テスト)スコアと1分間立ち上がりテスト(1MSTST)に有意差は認められませんでした。しかし、アプリへの高い順守性(75%以上の週で週3日以上使用)を示した患者では運動能力の改善が顕著でした。現状では対面型PRへのアクセスが限られるなか、デジタルツールの活用は重要な選択肢となります。当院でも呼吸リハビリプログラムへのアクセス向上に取り組んでおり、このようなデジタルソリューションは今後の地域医療連携においても重要な役割を果たすと考えられます。
Smartphone application-based pulmonary rehabilitation in COPD: a multicentre randomised controlled trial
COPDにおけるスマートフォンアプリを用いた呼吸リハビリテーション:多施設ランダム化比較試験
Gloeckl R, Spielmanns M, Stankeviciene A, Plidschun A, Kroll D, Jarosch I, Schneeberger T, Ulm B, Vogelmeier CF, Koczulla AR.
Thorax. 2025 Mar 18;80(4):209-217.
https://thorax.bmj.com/content/80/4/209
COPDにおけるスマートフォンアプリを用いた呼吸リハビリテーション:多施設ランダム化比較試験
Gloeckl R, Spielmanns M, Stankeviciene A, Plidschun A, Kroll D, Jarosch I, Schneeberger T, Ulm B, Vogelmeier CF, Koczulla AR.
Thorax. 2025 Mar 18;80(4):209-217.
背景:
呼吸リハビリテーション(PR)はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)管理における必須要素である。しかし、従来の対面式PRプログラムへのアクセスは限られている。
研究デザイン:この多施設ランダム化比較試験は、ドイツとスイスの18施設からCOPD患者を募集し、12週間のモバイルアプリ(介入群;IVG)がCOPD評価テスト(CAT)で測定された生活の質と1分間立ち上がりテスト(1MSTST)で評価された運動能力に与える影響を、「強化型標準治療」を受ける対照群(CTG)と比較して評価することを目的とした。
結果:
年齢中央値65歳(IQR 60-70)、1秒量(FEV1)予測値の48%(IQR 37-60)の患者278名が研究に含まれた。12週目のIntention-to-treat解析では、CATはベースラインから介入群で中央値-4ポイント、対照群で-3ポイント改善した(差:0ポイント [95%CI: -1, 2]; p=0.7)。1MSTSTはそれぞれ1回と2回の改善を示した(差:1回 [95%CI: 0, 2]; p=0.12)。介入群の一部で、アプリへの順守性(週の75%以上で週3日以上使用)によって患者をグループ化したところ、順守群(40.4%)は非順守群と比較して1MSTSTが中央値2回多く改善した(95%CI: 1, 3; p=0.006)。アプリの使用に関する安全性の懸念は認められなかった。
結論:
アプリを用いたPRはCOPDにおいてベースラインと比較して成績を改善し、順守性の高いユーザーは順守性の低いユーザーと比較して運動能力がより改善した。強化型標準治療と比較して統計的に有意ではなかったものの、この研究はCOPD管理におけるこのアプリケーションの使用を支持し、PRへのアクセスという医療課題に対応するものである。
呼吸リハビリテーション(PR)はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)管理における必須要素である。しかし、従来の対面式PRプログラムへのアクセスは限られている。
研究デザイン:この多施設ランダム化比較試験は、ドイツとスイスの18施設からCOPD患者を募集し、12週間のモバイルアプリ(介入群;IVG)がCOPD評価テスト(CAT)で測定された生活の質と1分間立ち上がりテスト(1MSTST)で評価された運動能力に与える影響を、「強化型標準治療」を受ける対照群(CTG)と比較して評価することを目的とした。
結果:
年齢中央値65歳(IQR 60-70)、1秒量(FEV1)予測値の48%(IQR 37-60)の患者278名が研究に含まれた。12週目のIntention-to-treat解析では、CATはベースラインから介入群で中央値-4ポイント、対照群で-3ポイント改善した(差:0ポイント [95%CI: -1, 2]; p=0.7)。1MSTSTはそれぞれ1回と2回の改善を示した(差:1回 [95%CI: 0, 2]; p=0.12)。介入群の一部で、アプリへの順守性(週の75%以上で週3日以上使用)によって患者をグループ化したところ、順守群(40.4%)は非順守群と比較して1MSTSTが中央値2回多く改善した(95%CI: 1, 3; p=0.006)。アプリの使用に関する安全性の懸念は認められなかった。
結論:
アプリを用いたPRはCOPDにおいてベースラインと比較して成績を改善し、順守性の高いユーザーは順守性の低いユーザーと比較して運動能力がより改善した。強化型標準治療と比較して統計的に有意ではなかったものの、この研究はCOPD管理におけるこのアプリケーションの使用を支持し、PRへのアクセスという医療課題に対応するものである。