注目論文:肺がん検診環境における禁煙介入の効果比較
呼吸器内科
肺がん検診(LCS)を受ける喫煙者に対する3種類の禁煙支援方法の効果を比較した興味深い研究結果が報告されました。特に総合的なケア(IC)群では、従来の禁煙電話相談(QL)単独や禁煙電話相談に薬物療法を追加した群(QL+)と比較して、有意に高い禁煙成功率が示されました。今後、肺がん検診という「教育可能な瞬間」を活用した総合的な禁煙支援の導入が期待されます。
Smoking Cessation Interventions in the Lung Cancer Screening Setting: A Randomized Clinical Trial
肺がん検診環境における禁煙介入:ランダム化臨床試験
Cinciripini PM, Minnix JA, Kypriotakis G, Erasmus J, Beneventi D, Karam-Hage M, Carpenter K, Volk RJ, Carter B, Godoy MCB, Strange C, Shih YT, Cui Y, Green CE, Robinson JD.
JAMA Intern Med. 2025 Mar 1;185(3):284-291.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39804633/
肺がん検診環境における禁煙介入:ランダム化臨床試験
Cinciripini PM, Minnix JA, Kypriotakis G, Erasmus J, Beneventi D, Karam-Hage M, Carpenter K, Volk RJ, Carter B, Godoy MCB, Strange C, Shih YT, Cui Y, Green CE, Robinson JD.
JAMA Intern Med. 2025 Mar 1;185(3):284-291.
背景:
肺がん検診(LCS)環境における最適な禁煙介入方法はまだ確立されていません。本研究ではLCS環境において、統合性と強度が異なる3つの禁煙治療戦略の効果を評価することを目的としました。
研究デザイン:
このランダム化臨床試験では、LCS対象となる現在の喫煙者を3つの治療群(禁煙電話相談[QL]、禁煙電話相談プラス[QL+]、統合ケア[IC])にランダムに割り付けました。研究はテキサス州ヒューストンの病院ベースの禁煙治療クリニックで2017年7月から2022年6月まで実施されました。QL群では禁煙電話相談紹介と12週間のニコチン代替療法(NRT)を提供、QL+群では禁煙電話相談紹介に加えて12週間のNRTまたはLCS医師が処方する薬物療法を提供、IC群ではLCS医療環境内の禁煙治療専門家による12週間のNRTまたは処方薬物療法とカウンセリングを提供しました。
結果:
630名の参加者のうち320名(50.8%)が男性で、年齢の中央値は59歳(IQR 55-64歳)でした。参加者は1日あたり中央値20本(IQR 15-25本)の喫煙をしていました。各コホート(QL、QL+、IC)はそれぞれ210名で構成されていました。カウンセリングセッションの中央値はQLとQL+で4回(IQR 2-5回)、ICで8回(IQR 7-9回)でした。3ヶ月時点で、QL群の53名(25.2%)、QL+群の57名(27.1%)、IC群の78名(37.1%)が禁煙を報告しました。IC群はQL群(オッズ比[OR] 1.75 [95%CI 1.15-2.66]; P=0.01)およびQL+群(OR 1.58 [95%CI 1.05-2.40]; P=0.03)より優れた成績を示しました。6ヶ月時点では、IC群が68名(32.4%)と最も高い禁煙率を維持し、QL+群が58名(27.6%)、QL群が43名(20.5%)と続きました。このIC群とQL群の差は統計的に有意でした(OR 1.86 [95%CI 1.19-2.89]; P=0.01)。ベイズ解析では、IC群は3ヶ月時点でQL群と比較して絶対リスク差(ARD)0.12(正のARDの確率99%)、QL+群と比較してARD 0.10(正のARDの確率98%)という高い確率で禁煙効果の優位性を示しました。
結論:
この研究では、薬物療法と集中的なカウンセリングを含む統合ケア(IC)が、禁煙電話相談(薬物療法管理の有無にかかわらず)と比較して、禁煙の最良の機会を提供することが示されました。リソースが限られた環境では、QL+も考慮される可能性があります。
肺がん検診(LCS)環境における最適な禁煙介入方法はまだ確立されていません。本研究ではLCS環境において、統合性と強度が異なる3つの禁煙治療戦略の効果を評価することを目的としました。
研究デザイン:
このランダム化臨床試験では、LCS対象となる現在の喫煙者を3つの治療群(禁煙電話相談[QL]、禁煙電話相談プラス[QL+]、統合ケア[IC])にランダムに割り付けました。研究はテキサス州ヒューストンの病院ベースの禁煙治療クリニックで2017年7月から2022年6月まで実施されました。QL群では禁煙電話相談紹介と12週間のニコチン代替療法(NRT)を提供、QL+群では禁煙電話相談紹介に加えて12週間のNRTまたはLCS医師が処方する薬物療法を提供、IC群ではLCS医療環境内の禁煙治療専門家による12週間のNRTまたは処方薬物療法とカウンセリングを提供しました。
結果:
630名の参加者のうち320名(50.8%)が男性で、年齢の中央値は59歳(IQR 55-64歳)でした。参加者は1日あたり中央値20本(IQR 15-25本)の喫煙をしていました。各コホート(QL、QL+、IC)はそれぞれ210名で構成されていました。カウンセリングセッションの中央値はQLとQL+で4回(IQR 2-5回)、ICで8回(IQR 7-9回)でした。3ヶ月時点で、QL群の53名(25.2%)、QL+群の57名(27.1%)、IC群の78名(37.1%)が禁煙を報告しました。IC群はQL群(オッズ比[OR] 1.75 [95%CI 1.15-2.66]; P=0.01)およびQL+群(OR 1.58 [95%CI 1.05-2.40]; P=0.03)より優れた成績を示しました。6ヶ月時点では、IC群が68名(32.4%)と最も高い禁煙率を維持し、QL+群が58名(27.6%)、QL群が43名(20.5%)と続きました。このIC群とQL群の差は統計的に有意でした(OR 1.86 [95%CI 1.19-2.89]; P=0.01)。ベイズ解析では、IC群は3ヶ月時点でQL群と比較して絶対リスク差(ARD)0.12(正のARDの確率99%)、QL+群と比較してARD 0.10(正のARDの確率98%)という高い確率で禁煙効果の優位性を示しました。
結論:
この研究では、薬物療法と集中的なカウンセリングを含む統合ケア(IC)が、禁煙電話相談(薬物療法管理の有無にかかわらず)と比較して、禁煙の最良の機会を提供することが示されました。リソースが限られた環境では、QL+も考慮される可能性があります。