注目論文:マイコプラズマ肺炎における副腎皮質ステロイド併用治療の効果
呼吸器内科
小児の重症マイコプラズマ肺炎ではステロイド併用が有効とされてきましたが、成人における効果については限られたデータしかありませんでした。本研究では、ステロイド治療が低酸素血症の改善には寄与しなかったものの、発熱期間の短縮効果が認められました。合併症の増加も認められませんでした。私は,経験的に重症例にはステロイドの有効性を感じており、日本国内からのデータも発表できればと考えています。
Outcomes of Adjunctive Corticosteroid Treatment in Hypoxemic Adults Hospitalized for Mycoplasma pneumoniae Pneumonia: A Retrospective Cohort Study
低酸素血症を伴うマイコプラズマ肺炎入院成人患者における副腎皮質ステロイド併用治療の転帰:後ろ向きコホート研究
Hagman K, Nilsson AC, Hedenstierna M, Ursing J.
Clin Infect Dis. 2025 Feb 24;80(2):454-460.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39230949/
低酸素血症を伴うマイコプラズマ肺炎入院成人患者における副腎皮質ステロイド併用治療の転帰:後ろ向きコホート研究
Hagman K, Nilsson AC, Hedenstierna M, Ursing J.
Clin Infect Dis. 2025 Feb 24;80(2):454-460.
背景:
副腎皮質ステロイドは小児の重症マイコプラズマ肺炎に有益であると考えられていますが、成人におけるデータは限られています。本研究は、低酸素血症を伴うマイコプラズマ肺炎成人患者における副腎皮質ステロイド併用治療の効果を調査しました。
研究デザイン:
2013年から2017年に確定診断されたマイコプラズマ肺炎で、低酸素血症(SpO2<93%または酸素投与)を伴い入院した成人をコホートに含めました。治療は少なくとも1回のグルココルチコイド投与と定義しました。主要評価項目は低酸素血症改善までの時間で、多変量Cox回帰分析で解析しました。副次評価項目には発熱期間、入院期間、合併症を含めました。
結果:
低酸素血症中にステロイドは31%(122/388)に投与されました。年齢中央値は44歳(四分位範囲[IQR] 34-57)でした。ステロイド治療開始までの時間中央値は入院後1.9日(IQR 0.6-3.6)でした。累積投与量中央値はベタメタゾン15mg相当(IQR 10-19)でした。治療期間は5日(IQR 3-6)でした。ステロイド治療を受けた患者はより重症な呼吸器疾患を有し、症状持続期間が長く、フルオロキノロン系抗菌薬での治療頻度が高かったです。低酸素血症の改善までの時間(ハザード比[HR] 0.92 [95%信頼区間{CI}: 0.72-1.19], P = 0.53)および入院期間(HR 0.91 [95% CI: 0.71-1.16], P = 0.44)はステロイド治療群と対照群の間で有意差はありませんでした。ステロイド治療は発熱期間の短縮と関連していました(HR 1.44 [95% CI: 1.00-2.06], P = 0.046)。合併症は治療群間で有意差はありませんでした。副腎皮質ステロイド併用治療は、成人マイコプラズマ肺炎患者の低酸素血症改善時間の短縮とは関連していませんでした。しかし、発熱期間は短縮し、合併症の増加は認められませんでした。
副腎皮質ステロイドは小児の重症マイコプラズマ肺炎に有益であると考えられていますが、成人におけるデータは限られています。本研究は、低酸素血症を伴うマイコプラズマ肺炎成人患者における副腎皮質ステロイド併用治療の効果を調査しました。
研究デザイン:
2013年から2017年に確定診断されたマイコプラズマ肺炎で、低酸素血症(SpO2<93%または酸素投与)を伴い入院した成人をコホートに含めました。治療は少なくとも1回のグルココルチコイド投与と定義しました。主要評価項目は低酸素血症改善までの時間で、多変量Cox回帰分析で解析しました。副次評価項目には発熱期間、入院期間、合併症を含めました。
結果:
低酸素血症中にステロイドは31%(122/388)に投与されました。年齢中央値は44歳(四分位範囲[IQR] 34-57)でした。ステロイド治療開始までの時間中央値は入院後1.9日(IQR 0.6-3.6)でした。累積投与量中央値はベタメタゾン15mg相当(IQR 10-19)でした。治療期間は5日(IQR 3-6)でした。ステロイド治療を受けた患者はより重症な呼吸器疾患を有し、症状持続期間が長く、フルオロキノロン系抗菌薬での治療頻度が高かったです。低酸素血症の改善までの時間(ハザード比[HR] 0.92 [95%信頼区間{CI}: 0.72-1.19], P = 0.53)および入院期間(HR 0.91 [95% CI: 0.71-1.16], P = 0.44)はステロイド治療群と対照群の間で有意差はありませんでした。ステロイド治療は発熱期間の短縮と関連していました(HR 1.44 [95% CI: 1.00-2.06], P = 0.046)。合併症は治療群間で有意差はありませんでした。副腎皮質ステロイド併用治療は、成人マイコプラズマ肺炎患者の低酸素血症改善時間の短縮とは関連していませんでした。しかし、発熱期間は短縮し、合併症の増加は認められませんでした。