注目論文:インフルエンザ関連肺炎における抗ウイルス薬投与タイミングと死亡リスク

呼吸器内科
インフルエンザ関連肺炎における抗ウイルス薬投与開始時期と臨床転帰の関連性について、大規模な多州サーベイランスネットワークのデータを用いて詳細に検討されました。入院当日の治療開始に比べ、1日後では14%、2-5日後では40%の死亡リスク増加が認められており、早期治療開始の重要性が改めて示されました。
Timing of Influenza Antiviral Therapy and Risk of Death in Adults Hospitalized With Influenza-Associated Pneumonia, Influenza Hospitalization Surveillance Network (FluSurv-NET), 2012-2019
インフルエンザ関連肺炎で入院した成人におけるインフルエンザ抗ウイルス療法のタイミングと死亡リスク、インフルエンザ入院サーベイランスネットワーク(FluSurv-NET)、2012-2019年
Tenforde MW, Noah KP, O'Halloran AC, Kirley PD, Hoover C, Alden NB, Armistead I, Meek J, Yousey-Hindes K, Openo KP, Witt LS, Monroe ML, Ryan PA, Falkowski A, Reeg L, Lynfield R, McMahon M, Hancock EB, Hoffman MR, McGuire S, Spina NL, Felsen CB, Gaitan MA, Lung K, Shiltz E, Thomas A, Schaffner W, Talbot HK, Crossland MT, Price A, Masalovich S, Adams K, Holstein R, Sundaresan D, Uyeki TM, Reed C, Bozio CH, Garg S.
Clin Infect Dis. 2025 Feb 24;80(2):461-468.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39172994/
背景:
肺炎は検査で確認されたインフルエンザで入院した成人に一般的ですが、インフルエンザ関連肺炎患者における抗ウイルス治療のタイミングと重症臨床転帰の関連性はよく特徴づけられていません。

研究デザイン:
多州人口ベースのサーベイランスネットワークから抽出された7インフルエンザシーズン(2012-2019年)にわたり、検査で確認されたインフルエンザと肺炎の退院診断を受けた18歳以上の成人を対象としました。入院日(0日目、1日目、2-5日目)に対するインフルエンザ抗ウイルス薬投与開始のタイミングに基づいて3つの治療群を評価しました。ベースライン特性と臨床転帰は、複雑な調査設計を考慮した加重パーセンテージと非加重カウントを用いて群間で比較しました。遅延治療と30日全死因死亡率の関連を評価するため、ロジスティック回帰モデルを作成しました。

結果:
分析には合計26,233人の成人が抽出されました。年齢中央値は71歳で、ほとんど(92.2%)は1つ以上の非免疫不全状態を有していました。全体として、60.9%が0日目、29.5%が1日目、9.7%が2-5日目(中央値2日)に抗ウイルス治療を開始しました。ベースライン特性は群間で類似していました。30日死亡率は、0日目、1日目、2-5日目に治療を開始した患者でそれぞれ7.5%、8.5%、10.2%でした。0日目に治療を受けた患者と比較して、1日目に治療を開始した患者の死亡に対する調整オッズ比は1.14(95%信頼区間[CI]、1.01-1.27)、2-5日目に開始した患者では1.40(95% CI、1.17-1.66)でした。インフルエンザ関連肺炎で入院した患者における抗ウイルス治療の遅延開始は、死亡リスクの上昇と関連しており、入院時の抗ウイルス治療の適時開始の重要性が強調されました。