注目論文:COVID-19ワクチンのCOVID-19関連静脈血栓塞栓症に対する有効性

呼吸器内科
COVID-19は静脈血栓塞栓症(VTE)発症の強いリスク因子となることが知られていますが、COVID-19ワクチン接種によるVTE予防効果については十分検討されていませんでした。本研究では、mRNAワクチン接種がCOVID-19入院患者におけるVTE発症を有意に減少させる可能性が示されました。特にAlpha株やDelta株で高い有効性を示し、Omicron株でもある程度の効果が認められました。
Effectiveness of the Original Monovalent Messenger RNA Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Vaccination Series Against Hospitalization for COVID-19-Associated Venous Thromboembolism
COVID-19関連静脈血栓塞栓症による入院に対するオリジナル単価mRNA COVID-19ワクチン接種シリーズの有効性
Hager DN, Zhu Y, Sohn I, Stubblefield WB, Streiff MB, Gaglani M, Steingrub JS, Duggal A, Felzer JR, O'Rourke M, Peltan ID, Mohamed A, Stiller R, Wilson JG, Qadir N, Ginde AA, Zepeski AE, Mallow C, Lauring AS, Johnson NJ, Gibbs KW, Kwon JH, Self WH; Investigating Respiratory Viruses in the Acutely Ill (IVY) Network.
J Infect Dis. 2025 Feb 20;231(2):378-385.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39405261/
背景:
コロナウイルス感染症2019(COVID-19)は静脈血栓塞栓症(VTE)の強力なリスク因子です。COVID-19ワクチン接種がVTEを伴うCOVID-19による入院を予防する効果を評価した研究はほとんどありません。

研究デザイン:
2021年3月から2022年10月までの間に21施設で急性呼吸器疾患症状により入院した成人を対象に、COVID-19、オリジナル単価メッセンジャーRNA(mRNA)COVID-19ワクチン接種シリーズの完了、およびVTEについて評価しました。VTEの有病率をCOVID-19患者の非ワクチン接種者と接種者の間で比較しました。VTEを伴うCOVID-19入院を予防するワクチン有効性(VE)はテスト陰性デザインを用いて計算しました。また、VEは優勢な循環SARS-CoV-2変異株によっても層別化されました。

結果:
18,811人の患者(年齢中央値[四分位範囲]63[50-73]歳、49%女性、59%非ヒスパニック系白人、20%非ヒスパニック系黒人、14%ヒスパニック系、合併症の中央値2[四分位範囲1-3])のうち、9,792人がCOVID-19で入院(44%がワクチン接種済み)し、9,019人がテスト陰性対照群(73%がワクチン接種済み)でした。COVID-19患者のうち、601人が入院28日目までにVTEと診断され、そのうち170人がワクチン接種者でした。VTEはCOVID-19の非ワクチン接種者の方がワクチン接種者よりも多く見られました(7.8% vs 4.0%;P = .001)。VTEを伴うCOVID-19入院に対するVEは全体で84%(95%信頼区間、80%-87%)であり、優勢な循環変異株別のVEはAlpha株で88%(73%-95%)、Delta株で93%(90%-95%)、Omicron株で68%(58%-76%)でした。オリジナルの単価mRNAシリーズでのワクチン接種は、VTEを伴うCOVID-19入院の減少と関連していましたが、VTEの既往歴や抗凝固薬使用に関する詳細データは入手できませんでした。これらの知見は、ワクチン接種を検討している人々のリスク便益評価に役立つ情報となるでしょう。