注目論文:フルオロキノロン系抗菌薬と自然気胸リスクの関連性:全国規模の症例時間対照研究
呼吸器内科
フルオロキノロン系抗菌薬は重篤なコラーゲン関連有害事象を引き起こす可能性があり、肺の結合組織への影響が懸念されてきました。しかし、本研究では自然気胸のリスク上昇は基礎疾患としての感染症の影響である可能性が高く、フルオロキノロン系抗菌薬による直接的な肺結合組織への毒性を示唆する所見は得られませんでした。同様の検討をアモキシシリンでも行い、むしろアモキシシリンの方がリスク上昇との関連が強かったことは、抗菌薬そのものよりも感染症の関与を示唆する重要な知見と考えられます。
Association of fluoroquinolones with the risk of spontaneous pneumothorax: nationwide case-time-control study
フルオロキノロン系抗菌薬と自然気胸リスクの関連性:全国規模の症例時間対照研究
Bénard-Laribière A, Pambrun E, Kouzan S, Faillie JL, Bezin J, Pariente A.
Thorax. 2025 Feb 17;80(3):159-166.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39393909/
フルオロキノロン系抗菌薬と自然気胸リスクの関連性:全国規模の症例時間対照研究
Bénard-Laribière A, Pambrun E, Kouzan S, Faillie JL, Bezin J, Pariente A.
Thorax. 2025 Feb 17;80(3):159-166.
背景:
フルオロキノロン系抗菌薬は重篤なコラーゲン関連有害事象を引き起こす可能性があり、肺の結合組織への影響が懸念されています。本研究では、フルオロキノロン系抗菌薬と自然気胸との関連性について調査しました。
研究デザイン:
フランスの全国健康保険償還システムデータベース(SNDS)を用いた症例時間対照研究を実施しました。2017年から2022年の間に自然気胸で入院した18歳以上の成人を対象とし、入院日直前のリスク期間(-30日から-1日)と3つの参照期間(-180日から-151日、-150日から-121日、-120日から-91日)におけるフルオロキノロン系抗菌薬の使用を比較しました。時間依存性の交絡因子を調整し、イベントのない対照群(年齢、性別、慢性閉塞性肺疾患の既往、暦時間でマッチング)を用いて曝露トレンドバイアスを補正しました。適応バイアスを制御するため、アモキシシリンについても同様の検討を行いました。
結果:
フルオロキノロン系抗菌薬に曝露された246例の気胸症例(男性63.8%、平均年齢43.0±18.4歳)のうち、気胸前30日のリスク期間中に63例、参照期間中に128例が曝露されていました。アモキシシリン症例3,316例(男性72.9%、平均年齢39.4±17.6歳)では、30日のリスク期間中に1,210例、参照期間中に1,603例が曝露されていました。曝露トレンドと共変量で調整したオッズ比は、フルオロキノロン系抗菌薬で1.59(95%信頼区間1.14-2.22)、アモキシシリンで2.25(2.07-2.45)でした。
結論:
自然気胸のリスク上昇は、フルオロキノロン系抗菌薬とアモキシシリンの両方で認められ、アモキシシリンでより強い関連が示されました。これは個々の抗菌薬の因果関係よりも、基礎疾患としての感染症の役割を強く示唆するものであり、フルオロキノロン系抗菌薬の肺結合組織への潜在的な毒性に関しては安心できる結果と考えられます。
フルオロキノロン系抗菌薬は重篤なコラーゲン関連有害事象を引き起こす可能性があり、肺の結合組織への影響が懸念されています。本研究では、フルオロキノロン系抗菌薬と自然気胸との関連性について調査しました。
研究デザイン:
フランスの全国健康保険償還システムデータベース(SNDS)を用いた症例時間対照研究を実施しました。2017年から2022年の間に自然気胸で入院した18歳以上の成人を対象とし、入院日直前のリスク期間(-30日から-1日)と3つの参照期間(-180日から-151日、-150日から-121日、-120日から-91日)におけるフルオロキノロン系抗菌薬の使用を比較しました。時間依存性の交絡因子を調整し、イベントのない対照群(年齢、性別、慢性閉塞性肺疾患の既往、暦時間でマッチング)を用いて曝露トレンドバイアスを補正しました。適応バイアスを制御するため、アモキシシリンについても同様の検討を行いました。
結果:
フルオロキノロン系抗菌薬に曝露された246例の気胸症例(男性63.8%、平均年齢43.0±18.4歳)のうち、気胸前30日のリスク期間中に63例、参照期間中に128例が曝露されていました。アモキシシリン症例3,316例(男性72.9%、平均年齢39.4±17.6歳)では、30日のリスク期間中に1,210例、参照期間中に1,603例が曝露されていました。曝露トレンドと共変量で調整したオッズ比は、フルオロキノロン系抗菌薬で1.59(95%信頼区間1.14-2.22)、アモキシシリンで2.25(2.07-2.45)でした。
結論:
自然気胸のリスク上昇は、フルオロキノロン系抗菌薬とアモキシシリンの両方で認められ、アモキシシリンでより強い関連が示されました。これは個々の抗菌薬の因果関係よりも、基礎疾患としての感染症の役割を強く示唆するものであり、フルオロキノロン系抗菌薬の肺結合組織への潜在的な毒性に関しては安心できる結果と考えられます。