注目論文:浸潤性真菌感染症治療におけるイサブコナゾールとボリコナゾールの比較:メタ解析とTSA

呼吸器内科
深在性真菌感染症に対する抗真菌薬の選択は、治療効果と安全性の両面から重要な臨床的課題です。本メタ解析では、イサブコナゾールがボリコナゾールと同等の有効性を示し、かつ有害事象の発生率が有意に低いことが示されました。特に、薬剤関連有害事象による治療中止率が低いことは、実臨床での使いやすさを示唆する重要な知見と考えられます。ただし、治療中止率の差については更なる検証が必要とされています。
Efficacy and safety of isavuconazole versus voriconazole for the treatment of invasive fungal infections: a meta-analysis with trial sequential analysis
浸潤性真菌感染症治療におけるイサブコナゾールとボリコナゾールの有効性と安全性の比較:メタ解析とTSA解析による検討
Weng J, Du X, Fang B, Li Y, Huang L, Ju Y.
BMC Infect Dis. 2025 Feb 18;25(1):230.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39966738/
背景:
イサブコナゾールは浸潤性真菌感染症の治療に使用されていますが、その有効性がボリコナゾールと比較して優れているかは明確ではありません。本メタ解析は、浸潤性真菌感染症治療におけるイサブコナゾールとボリコナゾールの有効性と安全性を比較評価することを目的としました。

研究デザイン:
PubMed、EMBASE、Cochrane Library、Web of Scienceなどの電子データベースを検索し、浸潤性真菌感染症患者の治療におけるイサブコナゾールの効果を評価した関連研究を特定しました。全体的な治療反応率、全死因死亡率、薬剤関連有害事象(AE)、薬剤関連AEによる治療中止率をプールして算出しました。

結果:
7つの研究(患者890名)が解析対象となりました。メタ解析の結果、全体的な治療反応率(リスク比[RR]: 1.02、95%信頼区間[CI]: 0.83-1.25、p=0.86)および全死因死亡率(RR: 0.95、95%CI: 0.78-1.16、p=0.61)において、イサブコナゾールとボリコナゾールの間に有意差は認められませんでした。一方、イサブコナゾールは薬剤関連AEの発生率(RR: 0.70、95%CI: 0.61-0.81、p<0.001)および薬剤関連AEによる治療中止率(RR: 0.56、95%CI: 0.39-0.82、p=0.003)が有意に低いことが示されました。試験逐次解析(TSA)により、薬剤関連AEによる治療中止率の差については更なる検証が必要ですが、その他の結果は確定的であることが確認されました。イサブコナゾールは浸潤性真菌感染症の初期治療において、有用な選択肢となる可能性が示唆されました。