Preserved ratio impaired spirometry (PRISm)は拘束性換気障害を含む不均一な病態です。本研究では、間質性肺異常（ILA）とPRISmの関連性を検討し、ILAの存在がPRISm患者の予後に与える影響を明らかにしました。特に喫煙歴のある高齢者では、PRISmにILAを合併する可能性が高く、死亡リスクが上昇することが示されました。

背景：
Preserved ratio impaired spirometry (PRISm)は不均一な病態で、拘束性換気障害を含みます。間質性肺異常（ILA）は早期の間質性肺疾患を示している可能性がありますが、PRISmとILAの関係は十分に理解されていません。

研究デザイン：
COPDGene研究参加者のうち、ベースラインの肺機能検査と胸部CT検査を受けた患者を対象としました。正常肺機能（FEV1 ≥ 80%予測値かつFEV1/FVC ≥ 0.7）とPRISm（FEV1 < 80%予測値かつFEV1/FVC比 ≥ 0.7）の患者について、Fleischner Society基準に基づくILAの有無を評価しました。ロジスティック回帰を用いてPRISmにおけるILAのオッズ比を検討し、Cox回帰を用いて全死因死亡率を解析しました。

結果：
正常肺機能4,494名とPRISm 1,262名を対象としました。ILAはPRISm患者の93名（7%）、正常肺機能患者の180名（4%）に認められました。PRISmは正常肺機能と比較してILAの増加と関連し（オッズ比1.74、95%信頼区間1.33-2.27、p < 0.001）、PRISm患者におけるILAは、高齢、喫煙歴、低肺機能、気道壁肥厚と関連していました。また、ILAは死亡率の上昇（調整ハザード比2.58、95%信頼区間1.49-4.45）と関連していました。

結論：
PRISmにおいて、ILAは全死因死亡率の上昇と関連し、年齢、喫煙歴、低肺機能、気道壁肥厚との関連も認められました。