注目論文:米国における気管支鏡的肺容量減少術の院内合併症発生率
呼吸器内科
気管支鏡的肺容量減少術(BLVR)は重症肺気腫患者の新たな治療選択肢として注目されています。本研究では、実臨床における合併症発生率が初期の臨床試験と同程度であり、適切な管理下では安全な治療法となりうることが示されました。当院でもBLVRを実施していますが、合併症への適切な対応が重要と考えています。
Inpatient Complication Rates of Bronchoscopic Lung Volume Reduction in the United States
米国における気管支鏡的肺容量減少術の院内合併症発生率
Costa Filho FF, Buckley JD, Furlan A, Campbell S, Hickok K, Kroth PJ.
Chest. 2025 Feb;167(2):436-443
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39181376/
米国における気管支鏡的肺容量減少術の院内合併症発生率
Costa Filho FF, Buckley JD, Furlan A, Campbell S, Hickok K, Kroth PJ.
Chest. 2025 Feb;167(2):436-443
背景:
初期の無作為化対照試験では、BLVRが重症肺気腫患者の肺機能、呼吸困難、生活の質を改善することが示されています。しかし、米国の実臨床における安全性データは限られています。
研究デザイン:
National Inpatient Sampleデータベースを用いて、2018年から2020年までのBLVR後の院内合併症を分析しました。合併症として気胸、COPD増悪、肺炎、喀血、急性呼吸不全、バルブ除去を評価し、院内死亡率と在院日数も検討しました。
結果:
対象となった467例(中央値67.9歳、女性45.0%、白人85.8%)のうち、2019年から2020年にかけて症例数は153例から295例と倍増しました。主な合併症は気胸(26.3%)、急性呼吸不全(19.5%)、COPD増悪(8.8%)、肺炎(7.3%)、喀血(5.3%)でした。気胸例の68.3%で胸腔ドレナージが必要となり、14.8%でバルブ除去を要しました。在院日数中央値は2.8日で、院内死亡は2.3%未満でした。合併症発生群と非発生群で、併存疾患、人口統計学的特徴、病院特性に有意差は認められませんでした。これらの結果は、BLVRが適切な症例選択と管理により、重症肺気腫に対する安全な治療選択肢となりうることを示唆しています。
初期の無作為化対照試験では、BLVRが重症肺気腫患者の肺機能、呼吸困難、生活の質を改善することが示されています。しかし、米国の実臨床における安全性データは限られています。
研究デザイン:
National Inpatient Sampleデータベースを用いて、2018年から2020年までのBLVR後の院内合併症を分析しました。合併症として気胸、COPD増悪、肺炎、喀血、急性呼吸不全、バルブ除去を評価し、院内死亡率と在院日数も検討しました。
結果:
対象となった467例(中央値67.9歳、女性45.0%、白人85.8%)のうち、2019年から2020年にかけて症例数は153例から295例と倍増しました。主な合併症は気胸(26.3%)、急性呼吸不全(19.5%)、COPD増悪(8.8%)、肺炎(7.3%)、喀血(5.3%)でした。気胸例の68.3%で胸腔ドレナージが必要となり、14.8%でバルブ除去を要しました。在院日数中央値は2.8日で、院内死亡は2.3%未満でした。合併症発生群と非発生群で、併存疾患、人口統計学的特徴、病院特性に有意差は認められませんでした。これらの結果は、BLVRが適切な症例選択と管理により、重症肺気腫に対する安全な治療選択肢となりうることを示唆しています。