注目論文:新規PDE3/4阻害薬Ensifentrineの中等症~重症COPDにおける増悪抑制効果
呼吸器内科
当科でも、COPD増悪の予防と管理は重要な臨床課題となっています。本研究で報告された新規薬剤Ensifentrineは、PDE3/4の二重阻害という新しい作用機序を持ち、抗炎症作用と気管支拡張作用を併せ持つ点が特徴的です。既存の長時間作用性気管支拡張薬や吸入ステロイド薬との併用においても一貫した増悪抑制効果を示しており、新たな治療選択肢として期待されます。
Effect of Dual Phosphodiesterase 3 and 4 Inhibitor Ensifentrine on Exacerbation Rate and Risk in Patients With Moderate to Severe COPD
中等症~重症COPD患者における二重ホスホジエステラーゼ3/4阻害薬Ensifentrineの増悪率とリスクへの効果
Sciurba FC, Christenson SA, Rheault T, et al.
Chest. 2025 Feb;167(2):425-435.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39197510/
中等症~重症COPD患者における二重ホスホジエステラーゼ3/4阻害薬Ensifentrineの増悪率とリスクへの効果
Sciurba FC, Christenson SA, Rheault T, et al.
Chest. 2025 Feb;167(2):425-435.
背景:
COPDの増悪は生命を脅かし、肺機能とQOLの不可逆的な低下をもたらす可能性があります。増悪は更なる増悪リスクを高めQOLを低下させるため、増悪負荷を軽減する薬剤は未だ満たされていないニーズです。Ensifentrineは、抗炎症作用と気管支拡張作用を示す初の選択的PDE3/4二重阻害薬です。
研究デザイン:
第3相臨床試験ENHANCE-1とENHANCE-2の事前規定された統合解析として、Ensifentrineの増悪率とリスク(初回増悪までの時間)への効果を評価しました。試験は40-80歳の中等症~重症COPD患者を対象に、24週間にわたり1日2回3mgのEnsifentrineまたはプラセボを投与しました。サブグループ解析と頻回増悪への移行リスク評価は事後解析として実施されました。
結果:
Ensifentrine群975名とプラセボ群574名が解析対象となり、62%が長時間作用性抗コリン薬または長時間作用性β2作動薬を、18%が吸入ステロイド薬を併用していました。Ensifentrineはプラセボと比較して、中等度~重度増悪の発生率(率比0.59、95%信頼区間0.43-0.80、P<0.001)とリスク(ハザード比0.59、95%信頼区間0.44-0.81、P<0.001)を有意に低下させました。増悪の抑制効果は、年齢、性別、人種、併用薬、慢性気管支炎、好酸球数、COPD重症度、増悪歴など、幅広い患者サブグループで一貫していました。また、非頻回増悪から頻回増悪への移行を遅延させる傾向が認められました。Ensifentrineは、幅広い臨床的に重要なサブグループにおいて、COPD患者の増悪発生率を低下させ、初回増悪までの期間を延長させることが示されました。
COPDの増悪は生命を脅かし、肺機能とQOLの不可逆的な低下をもたらす可能性があります。増悪は更なる増悪リスクを高めQOLを低下させるため、増悪負荷を軽減する薬剤は未だ満たされていないニーズです。Ensifentrineは、抗炎症作用と気管支拡張作用を示す初の選択的PDE3/4二重阻害薬です。
研究デザイン:
第3相臨床試験ENHANCE-1とENHANCE-2の事前規定された統合解析として、Ensifentrineの増悪率とリスク(初回増悪までの時間)への効果を評価しました。試験は40-80歳の中等症~重症COPD患者を対象に、24週間にわたり1日2回3mgのEnsifentrineまたはプラセボを投与しました。サブグループ解析と頻回増悪への移行リスク評価は事後解析として実施されました。
結果:
Ensifentrine群975名とプラセボ群574名が解析対象となり、62%が長時間作用性抗コリン薬または長時間作用性β2作動薬を、18%が吸入ステロイド薬を併用していました。Ensifentrineはプラセボと比較して、中等度~重度増悪の発生率(率比0.59、95%信頼区間0.43-0.80、P<0.001)とリスク(ハザード比0.59、95%信頼区間0.44-0.81、P<0.001)を有意に低下させました。増悪の抑制効果は、年齢、性別、人種、併用薬、慢性気管支炎、好酸球数、COPD重症度、増悪歴など、幅広い患者サブグループで一貫していました。また、非頻回増悪から頻回増悪への移行を遅延させる傾向が認められました。Ensifentrineは、幅広い臨床的に重要なサブグループにおいて、COPD患者の増悪発生率を低下させ、初回増悪までの期間を延長させることが示されました。