注目論文:ロボット支援気管支鏡による胸膜近傍結節生検の有効性
呼吸器内科
当科でも末梢肺病変に対する気管支鏡検査を多く実施していますが、胸膜直下病変は特に気胸のリスクが高く、生検手技の選択に苦慮することが多くあります。本研究では、形状センシングロボット支援気管支鏡(ssRAB)が、胸膜や葉間に接する病変に対して高い診断率と良好な安全性を示しており、CTガイド下経皮生検の代替となる可能性が示唆されています。特にクライオ生検とコーンビームCTの併用による診断精度の向上は注目に値します。
Diagnostic performance of shape-sensing robotic-assisted bronchoscopy for pleural-based and fissure-based pulmonary lesions
胸膜および葉間裂接触肺病変に対する形状センシングロボット支援気管支鏡の診断性能
Fernandez-Bussy S, Yu Lee-Mateus A, Barrios-Ruiz A, et al.
Thorax. 2025 Feb 17;80(3):150-158.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39837619/
胸膜および葉間裂接触肺病変に対する形状センシングロボット支援気管支鏡の診断性能
Fernandez-Bussy S, Yu Lee-Mateus A, Barrios-Ruiz A, et al.
Thorax. 2025 Feb 17;80(3):150-158.
背景:
末梢肺病変(PPL)の中でも胸膜に接する病変の生検は、気胸などの合併症リスクが高いとされています。従来はCTガイド下経皮生検が一般的でしたが、形状センシングロボット支援気管支鏡(ssRAB)の登場により、これらの病変に対する新たな診断アプローチが可能となりました。
研究デザイン:
2020年1月から2023年12月までの期間に、ssRABにより生検を実施した胸膜接触病変(壁側・横隔膜側胸膜:PP、縦隔側胸膜:MP、葉間裂:FP)を対象とした後ろ向き研究です。患者背景、病変特性、手技関連データを収集し、主要評価項目を診断率(全症例中の確定診断症例の割合)、副次評価項目を安全性(手技関連合併症)および可動式コーンビームCT(mCBCT)使用時と生検デバイス別の診断率としました。
結果:
178名の患者から182病変(PP:95病変、MP:30病変、FP:57病変)が生検され、全体の診断率は80.2%(146/182)、悪性病変に対する感度は83.2%(104/125)でした。上葉病変(オッズ比2.86)、mCBCT使用(オッズ比2.27)、クライオ生検(オッズ比2.90)が高い診断率と関連していました。合併症は、ドレナージを要する気胸が5例(2.8%)、Nashville Scale grade 3の出血が1例(0.6%)と低率でした。ssRABは胸膜および葉間裂接触病変に対して、高い診断率と低い合併症率を示し、特にmCBCTとクライオ生検の併用で診断精度が向上することが示されました。
末梢肺病変(PPL)の中でも胸膜に接する病変の生検は、気胸などの合併症リスクが高いとされています。従来はCTガイド下経皮生検が一般的でしたが、形状センシングロボット支援気管支鏡(ssRAB)の登場により、これらの病変に対する新たな診断アプローチが可能となりました。
研究デザイン:
2020年1月から2023年12月までの期間に、ssRABにより生検を実施した胸膜接触病変(壁側・横隔膜側胸膜:PP、縦隔側胸膜:MP、葉間裂:FP)を対象とした後ろ向き研究です。患者背景、病変特性、手技関連データを収集し、主要評価項目を診断率(全症例中の確定診断症例の割合)、副次評価項目を安全性(手技関連合併症)および可動式コーンビームCT(mCBCT)使用時と生検デバイス別の診断率としました。
結果:
178名の患者から182病変(PP:95病変、MP:30病変、FP:57病変)が生検され、全体の診断率は80.2%(146/182)、悪性病変に対する感度は83.2%(104/125)でした。上葉病変(オッズ比2.86)、mCBCT使用(オッズ比2.27)、クライオ生検(オッズ比2.90)が高い診断率と関連していました。合併症は、ドレナージを要する気胸が5例(2.8%)、Nashville Scale grade 3の出血が1例(0.6%)と低率でした。ssRABは胸膜および葉間裂接触病変に対して、高い診断率と低い合併症率を示し、特にmCBCTとクライオ生検の併用で診断精度が向上することが示されました。